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束の間の戯れ・興味 ページ5

ほくほく顔。





折衷案として、コロッケを半分譲ると
太刀川はまさにそういう表現の似合う顔を浮かべた。

東「おいおい、年下の女子に集るなよ」
東は傍目に呆れている。



太「よし城岩、
代わりにソロ(ランク戦)の相手をしてやろう」

ぼちゃん。

A「…ふぁっ?」

食べかけていたうどんが、落ちて汁を跳ねた。


A「これから?」
太「これから。」
A「…コロッケの代わりに?」
太「そう」

さも当然と言う風な顔でコロッケを頬張っている。

太「ふぁっふぇふぉまえ、フェイファーのふぇはいはら」
東「食うか喋るかどっちかにしろ」
太「むぐもむぉん」

太刀川が咀嚼を終えるまでに、Aは返答を考える。

困ったことに、午後は任務が入っているのだ。
理不尽なこじつけはともかく、この見知らぬ男からの果たし状を突き返さなければならない。

湯気の上らなくなったうどんを慌てて掻き込みながら、彼の咀嚼が終わるのを待った。





太「で」
A「…もぐ?」
太「どうだ?腹ごなしに一試合」

A「えっと、これから任務で」
太「その後は?…あ、時間的にうちが任務だわ」



残念、と視線を巡らせる太刀川は、まだ何か言いたげだ。

A「私と話したかったのって、このため?」
太「まあ、そんなとこだ」
A「・・・」

太「それに『向こう』から来たんだろ?なら腕試しがしたい」
A「腕試し・・・。タチカワ、さんは」
太「太刀川でいい」
A「太刀川はA級でしょ?私が相手務まるかなあ」
太「でなきゃ困る」

苦笑を浮かべながら、太刀川は席を立った。

太「ま、俺が勝つけどな」
不安の欠片もなく、自信に満ち満ちた表情をして言い放つ。

そのままトレーを片手に、東へ軽く挨拶をし、
ふらふらと人混みの中へと溶け込んでいった。



ぼんやりとその後を見送ると、Aは箸を揃えて鉢に置いた。
A「…?
何で私が『向こう』から来たって知ってたんだろう」

疑問符を浮かべる彼女に、東は誰となく答えた。
東「太刀川は隊長だから聞いてたんだろう」
A「あ、成る程。会議かあ」

ふーん、とコップの中の水を傾ける。

そんな彼女をちらりと見遣り、東はどこか諭すような口調で言う。
東「無理に誘いに乗らなくていいぞ。ああいう奴なんだ」
A「いえ」

コップを空にし、Aはいつかの目をして東に顔を向けた。
A「誘われたなら、私は闘いますよ」

束の間の戯れ・復唱→←束の間の戯れ・相席



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(プロフ) - この小説大好きです。頑張ってください! (2020年3月9日 22時) (レス) id: 3553c63234 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 続き気になります!更新頑張って下さい。 (2017年8月1日 10時) (レス) id: 05ce5fca4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未紺碧 | 作成日時:2016年6月27日 18時

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