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103.かぞく2 ページ7

簡単な挨拶を済ませ、話は互いの近況へと移り変わる。

「今日は御両親とご兄弟の命日だったな。」
と慎寿郎さんがAさんに言うと

「はい。慎寿郎様に助けて頂いたこの命…感謝してもしきれません。」
とAさんが頭を下げる。

すると、慎寿郎さんも
「当然のことをしたまでだ。だが、君の家族を守れなかった事を申し訳なく思う。」
と頭を下げた。

「立派に成長したものだ。よく、頑張った。」
と顔を上げた慎寿郎さんがAさんを慈しむように言う。

その言葉を皮切りにAさんは大粒の涙を零した。
「Aさん!」
と千寿郎くんがAさんにちり紙を渡す。

Aさんの過去を詳しくは知らない。
でも分かるのはきっと辛い過去があった事。

沖田隊長と居る時の幸せそうな顔しか知らない俺はどうしたらいいのかわからず、特性の地味を使い部屋の空気に溶け込むしか無かった。

やがてAさんも落ち着き、暖かい陽の光が部屋に射し込んでいた。

「最近は鬼狩りをしていないと耳にしました。
何が身の上にあったのでしょうか?」
と千寿郎くんが口を開く

『あぁ…その件は…』
と俺の口から説明をする

「なんて事…」
千寿郎くんは驚きを隠せない様子だが、慎寿郎さんは

「この事態。鬼殺隊としては柱を1人欠くのは大きな損害だ。実際、他の柱の出動数が増えている様だしな。だが、何より大事なのはAの命だ。気に負うことはない、今はしっかりと身の安全を確保すべきだ。鬼になったお前を斬ることになるのは他の者にとっても心苦しいだろう。」
と冷静に事を判断した。

「だが、見知らぬ男だらけの場所に嫁入り前の娘ひとり置くのは別の面で安全ではないだろう。」
と慎寿郎さんは続ける

『あぁ…いや…』
どこよりも安全だと思います。ほんっと誰もAさんに触れられもしないので。

「うちに来ないか?元柱の俺も居る。千寿郎だってAを護るくらいできる。それに」
と言葉を区切り息を吸い込みながらニコリと笑うと

「杏寿郎はずっとAに思いを寄せていた様だしな。」

時が止まった。

きっと沖田隊長のことを話そうと口を開いたAさんは声が出ずパクパクしている。

「私もAさんが義姉上になってなってくださるのはとても嬉しいです。」
と千寿郎くんも真っ赤な顔で告げる

俺もAさんも衝撃で動けずにいると、
「父上!千寿郎!そのようなお話はお止め下さい!!」
と事の原因、煉獄杏寿郎が勢いよく襖を開けた。

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作者名:トマトマト | 作成日時:2021年12月5日 15時

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