98.ラブコメ ページ2
心地いい重みで目が覚める。
白い天井、薬品臭い空気。
『病院かィ』
と体を起こそうとする
『いってぇ…なんでい、これ』
胸板から腹に向かって巻かれた包帯、頭もズキズキする。
「起きたか…」
横を見ると
『なんで土方さんなんでィ。そこはAの可愛い顔があるべきでしょう?可愛い彼女が俺の手を握りながら涙流して俺の意識が戻るのを待つのがラブコメの常套手段ってもんでさァ。』
「ってめ…悪かったな土方さんで。Aならそっちだよ」
と背後を指さす
そこには同じく包帯に巻かれたAが眠っていた。
「ったく、2人してどっか行っちまうから戦場で逢い引きでもしてんのかと思ったわ。」
と土方はタバコをふかす
『んな訳ねぇでしょう。いくら色々我慢しててもそんな趣味の悪ぃこのしやせんよ。』
と言うと土方はフッと笑った。
そして、喜べ総悟、と話し始めた。
「Aはこれから真選組で保護する。これは産屋敷家からの依頼だ。今、人を鬼化させる薬を持っているのは春雨。そんでもってその第七師団の団長にAが目ェつけられてんだ。しばらくAは鬼狩りも禁止。外に出る時にゃぁ真選組も同行する。」
土方はそこまで言い、フーと一息つくと再び口を開く
「今までの生活とそう変わりはしねぇ。Aも総悟の傍に居られるならと、話を飲んだ。」
ちゃんと護ってやれよ
と俺の肩に手をおき、土方は病室を後にした。
俺は横を見る
そこには陽の光に照らされるAの寝姿が規則正しい呼吸をしていた。
生きている。
Aも、俺も。
気づくと俺は涙を流していた。
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作者名:トマトマト | 作成日時:2021年12月5日 15時