「食べたくなる」(S.S) ページ6
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かぷり。
うなじへの甘い刺激に小さく反応してしまう。
柔らかい唇を押し付けてみたり、歯でがぶがぶしてみたり、吸い付いてみたり。
くすぐったさに身を捩ると、それを咎めるように抱きしめる力が強くなる。
『も、なにっ……』
「んー」
声をかけても適当な返事だけが返ってくる。
よく見る光景。私にとっては日常。
『ねぇくすぐっ、たい』
私のうなじに顔を埋めている彼の髪の毛をくしゃっと掴み軽く引っ張る。
弱い力に従ってくれた彼は、渋々、といった不満げな表情を浮かべていた。
「なんやねん」
『もぉー何ですぐ私の首噛むの？』
「痕つけてへんしえぇやん」
彼の言う通り、首には毎回すぐ消えてしまいそうな赤みしか残されていない。
マーキングでもなければ、そーゆう雰囲気にしたいわけでもない。
彼の意図は謎だった。
「あー、」
『こら』
「んぐっ、」
またしても私の首を狙ってきた彼の口を手のひらで塞ぐ。
不機嫌に眉を顰めてモゴモゴと文句を言い始めた。
『噛むの禁止』
そう言ってるのに今度は私の手を唇で食んでくる。
首以外も、彼にとっては噛む対象らしい。
くすぐったさから反射的に引こうとした腕を掴まれ、ぐっと顔を寄せた彼が喉元に狙いを定める。
「なんか、甘ったるい匂いすんねんもん」
食べたくなる。
少し掠れた声に身体が火照っていき、頭の芯がびりびりと痺れる。
セットされていない髪の毛がふわりと触れ、なんだか無性に逃げ出したくなった。
いつもの戯れとは、少し違う雰囲気。
「……今日あかんかも。先謝っとくわ」
『へっ、？』
「痛かったら、ごめん」
がぶり。
首に残された歯形を見て、彼は満足そうに微笑むのだった。
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ゆの(プロフ) - ゆきまろさん» こちらの方までありがとうございます！ 佐野担さんに喜んでもらえたなら大満足です！！ (2022年10月26日 10時) (
レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまろ(プロフ) - 佐野担の私は無事に死亡しました、、、これ何回も読みます、、！ (2022年10月25日 23時) (レス) id: fd73da006f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆの | 作成日時：2022年10月25日 4時
