58話 ページ8
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小島「A、何やるか決めたん？」
『え……っと、まだ。紫チームはキンプリの曲だっけ。頑張ってね』
小島「あ、ちょおっ、」
まだ話したそうだったこじけんから離れるように、今度は照史くんの元へ。
休憩中だからなのか、何も言わずそのままにしてくれるのをいいことに、広い背中に顔を埋めた。
そうしていると、誰かが近付き影が落ちる。
重「……俺のせいやったりする？」
珍しく静かな雰囲気のしげに、首を小さく横に振る。
あの日以来私が落ち込んでいるのは、メンバーに当たり前のように気付かれてて。
それでもお仕事に持ち込んでいないのと、私がまったく話そうとしないから腫れ物を扱うようにここまできた。
さすがに、何が原因なのか今日でばれてしまったけど。
でもこれは、誰も悪くないから。
強いて言うなら私の想いが足りなかったのかな、って。
重「末澤さぁ、Aに貰ったピアスつけてたで」
『……そゆとこ見てるの珍しいね』
重「俺らと話合っとるときも、めっちゃAの方見てたし」
『……そっか』
重「仲直りせえへんの？」
仲直り、かぁ。
前のすれ違いとは似てるようでちょっと違う。
何にもなかったみたいに「久しぶり」って声をかけて、普通に話せるようになっても、私と彼の関係は絶対元には戻らない。
鎖骨あたりにある毛先を指でくるくると弄る。
タイムリミットまで、もうちょっと時間あったのになぁ。
避けてばかりじゃいられないのは、わかってた。
だけど勇気が出なかった。
末「……借りてもええっすか」
一歩踏み出してくれるのは、いつも誠也くんだ。
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
