95話 ページ45
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佐「誠也くんはAちゃんに甘すぎっすわ」
そう拗ねた顔で言い捨てた晶哉の言葉を、ふと思い出した昼下がり。
なんでそんな話になったんだったかな。
あ、誠也くんが私と一緒にいすぎて「Aちゃんと話せへん！」って怒ってたんだっけ。
そっから晶哉以外からも不満がどんどん出てきちゃって……最終的に誠也くんの「彼女やもん」で皆が諦めちゃったんだ。
……まぁたしかに、誠也くんは私に甘いけど。
膝の上に置いていた雑誌からこっそりと目線を彼に移す。
可愛い愛犬と戯れていたはずなのに、すぐ気付かれて柔らかく微笑まれてしまった。
末「読み終わったん？」
『あと……や、うん。終わった』
ほんとはまだ残ってたけど、それよりも気になっちゃったから。
誠也くんって私の我儘をどこまで許してくれるんだろ。
『誠也くん、こっち』
末「ん？」
『えと、ひ、膝枕して』
末「俺のやと硬いやろ」
そう言いながらもすんなり私の隣に座り直した彼は、ぽんぽんと太ももを叩いて了承を示してくる。
恐る恐る頭を乗っけると、目にかかった前髪を優しい手つきで払われた。
それだけで心臓のきゅんきゅんが止まらない。
『……かたい』
末「やから言うたやん。笑」
『頭、なでて？』
末「なに今日。めっちゃ甘えん坊やなぁ」
さっきまでsenaくんにしていたみたいに、私のことも撫でてくれる。それが気持ち良くて、当初の目的も忘れて思わず目を細めてしまう。
末「かわい。俺の手好き？」
『全部すきー』
末「素直やん。かわいい」
彼からの「可愛い」が嬉しくて、胸がいっぱいなのを誤魔化すように頭をお腹にぐりぐり押し付ける。
ふわりと甘めな香りが鼻をくすぐり、それも大好きだからたまらない。ついつい息を吸い込んじゃう。
末「嗅ぐなや。笑」
『いい匂いするんだもん』
末「Aの好きな香水つけとるからちゃう？」
『ううん。誠也くんの匂い』
末「それで言うたらAも、いっつも甘くてええ匂いすんで」
いきなりくっつかれるのは恥ずかしくてちょっぴり苦手だけど、今みたいにゆったりとした雰囲気だと私からも近づきやすくて好き。
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
