82話 ページ32
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晶哉の手から大晴の頭へ。
2人ともを撫でてあげると、満足そうに笑っていた。
黙って見ているこじけんはいいのかなって目線を向けると、「俺はええねん。小っ恥ずかしい」って思春期みたいなことを言ってくるから、後で隙を見て撫でる算段をつける。
『なんか皆撫でられるの好きだよね』
佐「Aちゃんの手、気持ち良いんすもん」
福「癒しオーラ出てる感じする」
末「和んどるとこ悪いけどお前ら近すぎんねん」
え、と零れた小さな声。
背中に感じるぬくもりと大好きな香りに包まれて、一瞬にして心臓の音は速まっていく。
佐「あーあ、また誠也くんに奪られちゃった……」
末「元から俺のや」
小島「安定に束縛激しいわ」
福「俺らにもAちゃんとの時間くださいよぉ！」
末「はぁ？」
目尻を吊り上げ、険しい表情で3人を睨み付ける彼。
けど私と目が合った瞬間にそれが緩んでいくからずるい。
……まぁ、こわい顔だってかっこいいんだけど。
末「なに、そんなじっと見て」
『誠也くんだなぁって思っただけー』
末「なんやねん」
よく聞く言葉なのに、私にだけはほんのり甘さを含ませていて。
隠しきれていないそれに気付くたび、また何回だって恋をしている。
末「お前らには充分時間やったんやからもうええやろ。こっからは俺に譲れや」
福「俺らのAちゃんやったのに……」
末「俺のやから」
佐「俺らのAちゃん返してくださいよ！」
末「俺のやって言うとるやろが！！」
小島「声でか」
律儀に言い返す彼は悪くない。悪くない、んだけど。
居た堪れなさに彼の腕を引っ張り、無理やり口論を止める。
末「ん、どした……って顔真っ赤やん」
『……そんな何回も言われたら、はずかしい』
末「ふーん。なにを？」
含みを持たせた言い方にしどろもどろになると、それを見てまたニヤニヤと口角を上げる彼。
いつも優しくて特別扱いしてくれるのに、たまにこうやって意地悪な姿を見せてくるから困る。
『だ、だから……！』
末「だから？」
『ううぅ、誠也くん！！』
末「ふはっ、かわい」
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
