80話 ページ30
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佐「Aちゃんは、男からされて嬉しいことってありますか？」
『……え？』
ぱちぱちと瞬きをしながら、純粋に不思議そうな顔をしている晶哉を見上げる。
なんでそんな質問をしてきたのかわからずに首を傾げると、おんなじように傾いていった。
『急にどしたの？』
佐「雑誌のアンケートなんですけど、“彼女にしてあげたいこと”ってのがテーマで。やから参考に聞きたいなぁーって思ったんすよ」
『なるほど……？』
わかったような、わからないような。
全てに疑問符を付けて返してしまった私へ、晶哉は子犬みたいなくりくりの瞳に期待を込めて見つめてくる。
これはたぶん、答えるまで解放してもらえないやつ。
『んん……好意がある人からされることって比較的何でも嬉しい気がするけど……』
佐「せやったらAちゃんは誠也くんに何されても嫌やなぁってならへんの？」
『そもそも誠也くんは私が嫌がることしないもん』
小島「信頼しすぎやろ」
どすっ、と私の頭に腕を乗せてきた相手は可愛くもあり憎たらしくもある、生意気な後輩。
どかしてもらうために軽く叩いたら、絶対痛くないくせにわざとらしく「痛ったいわ〜」なんて煽ってくる。
ほんと、いつからこんな可愛げがなくなっちゃったの。
少しは苦笑しながらも「こじけん」って咎めてくれる大晴みたいになりなさい。
福「けどほんまにないん？ 誠也くんの嫌なとこ」
『んーっとね……あ、』
小島「その感じ、あるやん」
『いや、別にすっごく嫌とかじゃないんだけど……誠也くんって私にお財布出させてくれないの』
ぽかん、とした3人組の表情がおかしくて、でも笑いすぎると怒られそうだから控えめに笑って、それから彼とのお出かけを思い返す。
『ご飯食べに行ったらいつの間にかお会計終わってるし、聞いても誤魔化されて1円も貰ってくれないし。あと私が可愛いなって言ったものをサプライズで買ってくれてたり……』
小島「誠也くん、えぐ」
佐「あの人かっこつけんの好きやからなぁ」
『たまにねコーヒーとかだけ払わせてくれる』
福「聖夜様やーん！」
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
