69話 ページ19
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「……こんなんお前らに聞くのもどうかと思うんやけどさぁ」
西畑「どしたんすか？」
「指輪、とかって重い？」
藤原「どこに付けるかによるんちゃう？」
「……薬指」
目の前の2人は愕然と言葉を失い、恐らくひっそりと聞き耳を立てていたであろうリチャと正門が鈍い声を上げて俺らの方に寄ってくる。
そんなつもりやなかったのに、集まってもうた。
正「確認ですけど、付き合ったのいつでしたっけ？」
「今月の17日、やな」
西畑「1週間とちょっとしか経ってへん」
草「しかもつい最近ピアスあげてたやんな」
藤原「それで指輪はおっもいわ」
げんなりとした丈の言葉に残りの3人も同意を示すように大きく頷く。
相談せえへんかったらよかった、ほんま。
誰1人俺の味方おらんし。
「ちゃう、右手やで！？」
草「いやそこちゃうねん」
藤原「お前昔彼女おったんやからわかるやろ。普通付き合ってすぐの子に薬指の指輪なんか渡さへんって」
「薄々気付いてたけどあかんかなって聞いたのに何やねん！！」
正「誠也くん誠也くん。Aちゃん起きちゃいますよ」
ぴたっ、と慌てて動きを止めたが少し遅かったようで。
手の甲で目元を擦った彼女と目が合った。
『……せいやくん？』
とろんとまだ眠気の残る声で名前を呼ばれ、心臓が音を立てた。
Aはよく俺に『ずるい』って言うけど、それはこっちの台詞やって最近になって思う。
何しても可愛さを更新してくるから、ずるい。
「おっきい声出してごめんな。まだ寝とってええよ」
『……ん』
小さな返事をした彼女は、座り込んでいる俺の膝に後頭部をくっつけて再び夢の世界へ。
そこで膝枕をおねだりしないとこもいじらしくて可愛い。
そんできっと、俺の体温を少しでも感じようとしてるとこがとんでもなく愛しかった。
「……俺あんま余裕ないねんな」
誰にも渡したくない、奪られたくない。
俺のもんやって主張したい。
Aのことを好きやなって思うたびに独占欲が顔を出す。
こんなん知らんかった。
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
