67話 ページ17
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福「……ほんまに誠也くんと付き合っちゃったんすね」
普段の笑顔は鳴りを潜め、どことなく落ち込んでいるように見える大晴。
どうしたのかな、って首を傾げながらもとりあえず頭を撫でてあげると、ちょっぴり唇を尖らせて不満そうな表情になってしまった。
福「俺とAちゃんって1個しか変わんないじゃないですか」
『そうだね？』
福「せやけどAちゃんの方がずっと先輩で、お姉ちゃんみたいに引っ張ってくれてて」
『うん』
福「やから、なんか……えっと、勝手に憧れてたっていうか……もっと仲良くなりたいのに奪られてもうたっていうか……」
「あ゛ー！上手くまとまらへん！！」なんて髪の毛をかき乱して地団駄を踏む彼は、申し訳ないけどいつも以上に年下らしい、弟みたいで。
きっと、私が誠也くんに感じていたものと似ている。
甘やかされるのは嬉しいけど、年下扱いは気に食わない。
対等になりたいのに、させてもらえない。
色んなことに邪魔される。
まぁ私との違いは、そこに恋愛感情が含まれてないってことかな。
『大晴』
福「……はい」
『私にとって大晴は可愛い後輩の1人って認識で』
福「……そーっすよね。誠也くんの彼女になっちゃったし、こじけんとは友達みたいに仲良さそうっすけど」
『えぇめっちゃ拗ねるじゃん』
ぶすっ、とむくれた丸い頬。
あちゃーこじけんのことも気にしてたのかぁ。
『大晴もタメ口にする？』
福「……え、」
『あと2人でご飯とか……は、もう誠也くんの許可もらわないと無理だけど、近々計画しよーよ』
福「え、ええんすか！？」
『大晴が嫌じゃなければー』
福「いく！ いきたい！ うっわ、一気に距離縮まった気する！！」
ぴっかぴかの笑顔で私の手をとり上下に振る彼は、どうやらようやく“らしさ”を取り戻した様子。
それがなんだか嬉しくて、私も釣られてにこにこと笑ってしまうのだった。
＊＊＊
小島「……誠也くん、あれはいーんですか？」
「何が？」
小島「めっちゃ大晴がAちゃんのこと触っとるし、ご飯の約束もしてますけど」
「ええんちゃう？ じゃれとるだけやろ」
小島「俺やったら怒るくせに」
「大晴には下心がないもん」
小島「俺やってないわ！！」
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
