やっぱり手強い彼 (ページ15)

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65話ページ15

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ふいに、目が覚めた。

私にしては珍しく頭はすっきりとしていて、眠気なんて感じない朝。

昨日は色んなことがあって疲れてたからぐっすり寝れたのかなぁ、なんて考えながら身体を伸ばそうとして未だ眠りについている彼の存在に気付く。

『……寝起き悪いってほんとだったんだ』

すやすやと寝息をたてている彼を起こさないようにこっそりすり寄ると、「んぅ、」という小さな声と共に私を抱きしめる力が強くなる。
それが嬉しくて、思わず声を出して笑いそうになるのを必死に堪えた。

『……幸せだなぁ』

大好きな人と一緒に眠ることができて、起きたら隣にいて。
昨日まで想像でしかなかった光景が今は目の前に広がっている。夢じゃない。

『んー、お腹すいたかも』

カーテンの隙間から差し込む光を見る限り、恐らくそんなに寝坊はしていない。
まぁ今日はお互い予定がないからいいんだけどね。

誠也くんが寝てる間に朝ごはん作っちゃお。

そう考えてそっと彼の腕から抜け出しベッドに腰をかける。

だけど立ち上がることはできなかった。

末「……どこいくん」

『わ、』

私の腰へ巻き付けられた彼の腕が、ベッドへ引き戻そうとしてくる。
顔を後ろへ向けると、まだまだ目の開いていないおねむな彼の姿が見えた。

『誠也くん、おはよ』

末「おはよぉ」

『眠そうだね』

小さく笑って寝癖でふわふわな髪の毛を撫でると、気持ち良さそうに頭を手のひらに押し付けてくる。
そんなところまで可愛い。好き。

末「ふぁ……寝んの遅かってん」

『やっぱベッド狭かった？』

末「ちゃう。俺の問題やから気にせんといて」

少しずつ目が覚めてきたのか言葉がはっきりとし始めた彼だけど、繰り返されるあくびは止まらない。

『私ご飯作ってくるから、誠也くんはまだ寝てていーよ』

末「Aって料理できたんやっけ？」

『一人暮らしだもん。誠也くんよりはできますー』

末「彼女の手料理は楽しみやねんけど……今はこっち」

少し強い力で引っ張られるとその勢いに従って身体が傾く。
簡単に誠也くんの腕の中へ逆戻りだ。