52話 ページ2
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重「たまに本気でお前のことアホやなぁって思うわ」
『私は常にしげのことそう思ってるけど』
重「はぁー？ 生意気やぞ」
ヘッドロックをかけてくるしげに対して、わざとらしく悲鳴をあげる。
もちろん痛くない。なんならくすぐったいぐらいで、おふざけの延長線だ。
重「あ、せや」
何かを思いついたみたいな声を出したしげは、スマホをこちらに向けてその体勢のまま一度画面を押す。
彼にしては珍しい行動。
『写真、撮った？』
重「たまにはええやん」
『せめて声かけてほしいんですけどー」
重「いつでも可愛い可愛い」
『え、なにこわい……』
私の反応がお気に召したのか、しげは楽しそうに歯を見せて笑った。
何考えてるのかわからない不思議なお兄ちゃんだよ、ほんと。
重「あ、これ動画やった。せっかくやから末澤に送ってやろー」
そう言ってもう一度画面を押した彼は、にやりと口角を悪そうに上げる。
ゆっくりと彼の言葉を咀嚼した頭が慌てて身体を動かすように命令を出す。
『ちょっ、まっ、！』
重「もう送ってもうた。笑」
残念やったなぁ、と離れていき、悪役のように堂々と腕を組んで佇む姿がどこかムカつく。
なんなのもう！
『しげのせいで好感度落ちる！！』
重「今更そんなん気にせえへんやろ。どんだけかわいこぶってんねん。笑」
『誠也くんとしげで同じ対応するわけないじゃん！！』
私の怒りを子猫の威嚇ぐらいにしか思っていないのか。
しげはどこ吹く風で飄々としていた。
……ほんとにこれで嫌われたら一生呪ってやる。
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作者名：ゆの | 作成日時：2023年1月28日 4時
