33話 ページ33
.
『……お疲れ様、です』
珍しい敬語と一切俺の方に向けられない視線。
緊張してんねや、俺のせいで。
それでもちゃんと楽屋で待っててくれたんが、めちゃくちゃ胸にくる。
自然とゆるゆるになっていく頬をできる限り引き締め、一向に俺の目を見ようとしない彼女の顔を無理やり上げた。
『すっ、』
「見に来てくれてありがとう。どやった？」
『え、えと、いつも通りかっこよかったし高音綺麗だし……あとやっぱFirebirdの台詞がドキドキするのと……』
彼女の口から次々と出てくる感想は全部俺のこと。
流石に耐えられへんくて吹き出すと、目の前ではてなマークがいくつも浮かび上がった。
「俺以外見えてへんやん。笑」
『へっ、……？』
指摘されてようやく気が付いたんか、ぼふんと首まで真っ赤に染めた彼女が今日も相変わらず可愛い。
あー、今すぐ抱きしめたいねんけど。
『顔あっつい』
「ふはっ、Aちゃんのせいで俺の手ヤケドするんちゃう？」
『……そんなことないもん』
「はいはい拗ねへんの。Aちゃんらしくないなぁ」
『むぅ……』
口をもごもごとさせて何か言いたそうな何とも言えへん表情。
それの答えはわかってて、あえてつっこまず頬に指を滑らせる。
嬉しそうな顔が付け加えられたせいで余計複雑になってもうたのがちょっと面白くて、また笑いかけたのを今度は我慢した。
「どないしたん、Aちゃん」
『……わざとだったりする？』
「Aちゃんが何言いたいんか全然わかれへん」
眉間に皺を寄せつつも、しょんぼりとちょっぴり肩を落とした彼女。
この子は案外甘えるのがへたくそやって気付いたんは、いつやったかな。
言わんでもそりゃもちろん甘やかすで？
けど言わせたくなるときってあるやろ。俺も男やし。
未だに百面相している彼女の髪を優しく撫でる。
「お願い、あるんちゃうの？」
俺から出たとは思えないほどの甘ったるい声はこの子専用。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆの(プロフ) - oshige127さん» 何回も読んでもらえるの嬉しいです😊 デレ期到来…ですかね♡ 甘々な2人の関係を乞うご期待です！ (2022年11月24日 21時) (
レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
oshige127(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませていただいてます！なんなら何回も読み返してます！最近の末くんのデレデレ具合はなんなんですか〜（笑）一生のお願い真剣に考えます！笑 (2022年11月24日 10時) (レス) id: c6522ef373 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 3さん» ぜひ何回でも！毎回とっても嬉しいです♡ (2022年10月14日 2時) (レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
3(プロフ) - 何回もコメントすみません！めっちゃわかります焦ったい感じがたまらないんですよね楽しみにしてます！！ (2022年10月13日 13時) (レス) id: 050b62ae5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 3さん» 第三者目線だと「はよくっつけや！！」ですが当人たちには全く伝わっていない感じが好きでして。笑 もうしばらく皆さまにはもだもだしてもらいます。笑 コメントありがとうございました！ (2022年10月13日 3時) (レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆの | 作成日時：2022年7月17日 2時
