18話 ページ18
.
末「クーラー寒ない？」
『……大丈夫』
末「ん、ほんならよかった」
緩やかに動き出した車。
まだ彼と目を合わせる勇気はなくて、窓から通り過ぎていく街並みを眺める。
前までは、運転してる末くんをこっそり盗み見てたのにね。
末「ちょお遠いし寝てもえぇからな」
『……寝ないもん』
思わずむすっと膨れると、隣で小さく笑った気配を感じる。
いつだって彼は私を子ども扱いだ。
『末くん、私のことちっちゃい子だと思ってるでしょ』
末「え？ 思ってへんよ」
『でも昔からずっとそーゆう扱いじゃん』
ランドセルを背負っている時から、制服を着ている間も。
変わらず彼はおんなじ接し方。
構ってもらえて嬉しかったけど、それだけじゃ満足できなくなっちゃった。
欲張り、なのかな。
彼の反応が知りたくて、バレないように視線を右側へ移す。
ハンドルを握る手のひら、腰元、肩。
比例して私の心臓は鼓動を速めていく。
末「ちゃうって。俺別に年下得意とかないし」
赤信号。
次第にスピードを落としていった車。
優しさを滲ませた瞳が、私を見つめる。
末「特別扱いなんは、Aちゃんだけ」
再び車は夜の道路を駆けていく。
エンジンの音なんか聞こえないぐらい、心音が耳元でうるさく反響する。
胸が痛くて、苦しくて、息が詰まりそう。
期待したくないのに、ほんの僅かな希望を捨てられない私は、彼の思う壺なのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1424人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆの(プロフ) - oshige127さん» 何回も読んでもらえるの嬉しいです😊 デレ期到来…ですかね♡ 甘々な2人の関係を乞うご期待です！ (2022年11月24日 21時) (
レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
oshige127(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませていただいてます！なんなら何回も読み返してます！最近の末くんのデレデレ具合はなんなんですか〜（笑）一生のお願い真剣に考えます！笑 (2022年11月24日 10時) (レス) id: c6522ef373 (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 3さん» ぜひ何回でも！毎回とっても嬉しいです♡ (2022年10月14日 2時) (レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
3(プロフ) - 何回もコメントすみません！めっちゃわかります焦ったい感じがたまらないんですよね楽しみにしてます！！ (2022年10月13日 13時) (レス) id: 050b62ae5b (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - 3さん» 第三者目線だと「はよくっつけや！！」ですが当人たちには全く伝わっていない感じが好きでして。笑 もうしばらく皆さまにはもだもだしてもらいます。笑 コメントありがとうございました！ (2022年10月13日 3時) (レス) id: a2597d3538 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆの | 作成日時：2022年7月17日 2時
