今日も手強い彼

1話 ページ1

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末「お、ネイル新しいのに変えたん？」



会ったら細かい変化にもすぐ気付いてくれるし。



末「前のもよかったけど、今回も似合っとるよ。かわえぇ」



きちんと毎回褒めてくれるし。



末「赤つけてると、なんや俺の……って感じするわ。笑」



冗談っぽい口調で軽率に心臓破裂させてくるし。



毎日、毎時間、毎分、毎秒。
いつだって“好き”が更新されていく。

息が詰まりそうなくらい積もり積もった想いは、抱えきれなくて時々口からぽろっとこぼれ落ちてしまう。



『好き』



大きくてまん丸な瞳を一度だけぱちくりとさせ、彼はふわりと微笑む。

慈愛に満ちた、小さい子を見るような目線。


はじめの頃は期待もしてた。
だって笑顔だったんだもん。
もしかして……って。



末「ありがとうな、Aちゃん」



それでも、彼から出てくる言葉は毎回これだけ。
応えてもくれないし、拒否もされない。
進展もしなければ、後退だってしない。


ある意味、残酷だ。







『……うん』







だけど私も、この曖昧な関係に甘えてしまっているのだから同罪かもしれない。

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