３５１ 条件 ページ1
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ここに来たのは初めてだな。
権力の塊のようなその要塞からは
ソウルの景色が隅々まで丸く見渡せた。
こんな・・・
高い場所に毎日いると、
人間って言うのは。
自分がとてつもなく
強い様な気になるもの
なんじゃないだろうか。
やっぱり俺は
高い建物、苦手だ。
・・・・・。
ビルの最上階のフロア。
全面ガラス張りの部屋にいる。
ガラスの向こうには
見渡す限りのソウルの景色。
その、ガラスの前には
ボラの父親が立って、俺を見ていた。
「条件を出す。
君がボラの所に戻る事。
それが出来なければ、
この話は無い。」
「なぜですか。
あなたがそれほど
欲しがる価値は・・・。
あなたの後継者としての能力は
俺には・・・無いです。」
俺がそう言い返すと、
ボラの父親は目の前で
タバコに火をつけながら
こう言った。
「・・・私は娘の幸せを
大事に思っているだけだ。」
ボラの父親を睨み返す。
「大事に？
・・・ホテルで一緒にいた
女性は？
ボラは知っていますよ。」
ボラの父親は、俺の言葉を聞いて
煙を吐き、眉間に皺を作りながら
顔を近づけた。
「立場をわきまえたまえ。
話を逸らすのは、君には不利だぞ。
今それが有効な手段じゃないだろう。」
「・・・・・。」
黙っている俺に向かって
ボラの父親が指を差し、
こう言った。
「いいか？
私の娘は君に本気らしい。
そして私は娘に幸せになって欲しい。
その為なら、
こんな事、簡単な事なんだよ
パク・ユチョン。
私なら、
娘の幸せを踏み躙った君１人を
光の当たる場所に
上がれなくする事だって
簡単に出来るんだぞ。」
「なら、そうして下さい。
このコンサートだけは絶対、
やめる事、出来ないです。
コンサートが終わったら、
あなたの好きなように。」
睨み返し
じっと目を合わせる。
・・・・・。
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作者名：ゆうたろう
| 作成日時：2017年3月16日 12時
