42 綺麗 ページ42
.
ドアを開けるとすぐに、
着ていたTシャツを脱ぎかけている
ユチョンの背中が目に入って来た。
『・・・ユチョン？』
ユチョンは私の声を無視し、
背を向けたまま、
目の前でシャツを脱いでいる。
・・・その、綺麗な背中を見ながら
話しかけた。
『ユチョンが疲れてるの分かってます。
でも・・・少しだけお話出来ませんか？』
『・・・話すことないから。』
ユチョンはこちらを向かないまま、
そう答える。
『指を怪我したんです。
ユファンが手当てをし・・・。』
私が話し終わらないうちに、
ユチョンはサッと私に近付いて、
手を掴んだ。
『・・・どこ？』
『お皿を割ってしまって。
あっ・・・。』
無理やり絆創膏を剥がす。
『結構深く切ってる。』
ユチョンがぐっと傷を抑えると、
また傷口から血が滲み始めた。
『・・・痛い。』
私がそう言って顔をしかめる。
するとユチョンはそっと私の手のひらを掴み、
上に向けさせた。
そしてそっと・・・傷口に唇をつけた。
『・・・ユチョン。』
裸のまま、指につけられた唇の上で、
長い睫毛が揺れている。
・・・綺麗。
でも、前髪が邪魔して良く見えない。
空いている方の手で
ユチョンの前髪をそっと掻き分けると、
『・・・痛そう。明日の仕事大変だ。』
ユチョンはそう言いながら、
心配そうに私を見た。
『大丈夫です。
それに、ちゃんとユファンが
消毒してくれたんですけど・・・。』
苦笑しながらそう言うと、
『愛する人の・・・
血を見たら吸いたくなった。』
ユチョンはそう答えて、
また傷口に唇をつけた。
『あは・・・
血を吸われてるからですかね？
なんか心臓がドキドキして来ました。』
『・・・美味い。』
傷口を唇で塞いだまま呟く。
『なんか怖い・・・。
それはジュンスが得意な役じゃないですか？』
私が笑いながら手を引っ込めると、
ユチョンが真剣な顔になって私を見上げた。
『話なら、俺からもあるんだけど。』
『・・・え？』
『とりあえず服着替えるから、
ちょっと待っててくれる？』
ユチョンはそう言いながら、
目の前で新しいTシャツを着始めた。
話って・・・もしかしてあの事？
心臓がさっきユチョンに血を吸われた時より
ドキドキするのを感じながら、
今日、カフェで目にした画像が
アタマに浮かんで来た。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうたろう(プロフ) - めいオバチャンさん» はじめまして。数ある小説の中から選んでいただきありがとうございます^^続ミルクティーはただいま４章まで突入してます。そろそろ佳境に…ハッピーエンド目指して頑張りますね^ ^ (2015年5月28日 8時) (
レス) id: cbe058f85c (このIDを非表示/違反報告)
めいオバチャン(プロフ) - 初めまして。この3，4日で強く優しくから読み始めミルクティ続きが・・・。まだ待てますのでこの二人を幸せにしてください。 (2015年5月28日 0時) (レス) id: 368bbfdb50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうたろう(プロフ) - モモマルさん» モモマルさん^^コメありがとうございます。続きですかー頑張って書きますので、少々お待ちくださいね。 (2014年9月13日 22時) (レス) id: cbe058f85c (このIDを非表示/違反報告)
モモマル - 続きが非常に気になります！！！はぁ〜胸が苦しいです！ (2014年9月13日 16時) (レス) id: d3335205bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうたろう(プロフ) - ゆかぴーさん» 時間さえあればきっとまた仲良くなれるかと…^^ (2014年9月9日 23時) (レス) id: cbe058f85c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうたろう
| 作成日時：2014年7月15日 0時
