幽体離脱したdt様と生霊のnb：２７ ページ27
『……りょ――！？』
翔太が慌てて俺から離れる。
下がってた方がいい。翔太も燃えるかもしれない。
俺も、こみ上げるモノを抑えられない。
「――ぐぅ……ぁ……燃やしてやる……！」
残りの腕が俺を止めようと、掴みかかろうとした。
けど、俺に触れたそこから燃え上がり、粉々に燃やし尽くされていく。
「くはははっ……！」
愉快でたまらない。
全部腕だけだから、悲鳴がないのが残念。
「…………！」
最後に残った腕が、蜘蛛の足みたいに、俺の脳天から突き刺そうとした。
俺はそれをただ見てるだけで良かった。
振り下ろされた鋭い腕が、俺に触れたそこから砕け、崩れ落ちる。
炎の方が腕を追って燃え上がる。
最後の腕の指先は、助けを求めるようにぴくぴくと動いて、消えていった。
ようやく青い腕は消えた。
「…………」
俺はソファに仰向けで寝そべる翔太の上にまたがった。
最後の仕事。
頬に手を添える。
そして、翔太の口の中に手を突っ込んだ。
手に感触。
「――！……捕まえたぁ……」
引きずり出すと、黒いヒルのような、モヤの塊が出てきた。
口から出てきてたモヤの原因。
コイツは翔太の口に悪さをするヤツだ、と何となく分かった。
――ブチィ……！
握りつぶした瞬間、思わずニヤついた。
指の隙間から黒い欠片が煙のように漏れて消えていく。
最後まで見送ってから、息を吐いた。
体から怒りが抜けていくのを感じた。
これで、大丈夫。
大丈夫だよ、翔太。
「！」
翔太の目が開いた。
何度か瞬きしてから起き上がり、スマホに手を伸ばす。
画面を見ると、俺に電話してた。
当然つながらずに、スマホを置いた。
「……なんだよ。寝たか……」
ごめん。
本体は寝てます……
……俺も……そろそろだ。
疲れたねぇ、なべしょっぴー……
なんだかとっても眠いんだ……
あぁ、そうだった。
ふざけてる場合じゃない。
ダメージある……
「……翔太……」
俺を連れて帰って。
幽体離脱したdt様と生霊のnb：２８→←幽体離脱したdt様と生霊のnb：２６
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 473人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「渡辺翔太」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nika(プロフ) - なぎつゆさん» お気に召して頂けましたでしょうか(^-^;続きが書けたのは背中を押して下さったなぎつゆ様のおかげです。また、遅い更新にもかかわらず気長に楽しんで頂き、こちらがありがとうございますです。私にとっても思い出深い小説になりました。本当にありがとうございました！ (2021年2月17日 1時) (
レス) id: c151d8e75b (このIDを非表示/違反報告)
Nika(プロフ) - kabuさん» 優しいコメントありがとうございます！遅い更新の中、それでも楽しんで頂けたようで、本当にありがとうございます。つたない文章で恐縮ですが、また次作でも楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2021年2月17日 1時) (レス) id: c151d8e75b (このIDを非表示/違反報告)
なぎつゆ(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます…！！ここまでの長編にして下さり本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました！私にとって宝物のような小説になりました…！！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: acb7f5a4e3 (このIDを非表示/違反報告)
kabu(プロフ) - はじめまして、作者様の小説とても好きでいつも更新楽しみにしておりました。完結おめでとうございます！本当に何回読んでも好きだなぁと思える作品に出会えて嬉しく思います…心が満たされました…！これからの作品作りも楽しみに待っています…！ (2021年2月16日 22時) (レス) id: c61abcb023 (このIDを非表示/違反報告)
Nika(プロフ) - aytuさん» 最後まで読んで頂き、またコメントまでありがとうございます……！お気に召して頂けたようで、本当に良かったです。ありがとうございます。次作はいつになるやらですが、その時はまた、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 (2021年2月16日 15時) (レス) id: c151d8e75b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nika
| 作成日時：2020年11月7日 22時
