幽体離脱したdt様と生霊のnb:16 ページ16
目を開けると、俺はまだ照の腕の中に抱き留められていた。
みんな一瞬言葉を失う。
「お帰り、舘さん」
分かってるのはふっかだけ。
「宮ちゃん?――良かった……良かった……!!」
「ぅぇ……」
力いっぱい抱きしめられて苦しい。
阿部は安堵で胸を押さえながら、その場に倒れた。
「――照……いきなりキスしてごめん……俺……俺じゃなかったの……」
弱々しい言い方になってしまった。
もう少し腕の力を緩めてくれないかな。
照が落ち着くのを待って、改めて説明した。
3人がかりで説明して、照の様子をうかがう。
「信じるよ」
あっさり納得してくれた。
「早くない?」
さすがにふっかも困惑している。
「説明しておいてなんだけど……変な詐欺に引っかからないでね」
さすがの阿部も心配になったようだ。
「なんだよ俺がお前らを信じるって言ってんのに」
照は不満そうに口を尖らせた。
「めっちゃびっくりしたけど、舘さんの様子おかしかったし……ふっかみたいに見えないけど、俺結構、そういう体験してきてるから、信じれる」
そう言う照の表情は険しかった。
座り込んだまま、じっと俺を見つめる。
「俺に出来る事ない?」
……俺の疲れを見抜いてる。さすがだね。
「……この事を秘密にしておいて欲しい。今回も照に見つからなかったら、言わないつもりだった」
言っても面倒なだけだから。
余計な心配もかけたくない。
ふっかみたいに、幽体離脱した俺を見えも聞こえもしない阿部には、心労かけちゃうけど。
「……分かった……ありがとう。俺から悪いモノ取ってくれて……」
また照に抱きしめられた。
……あ……
俺の体の中に少し……ヤツの破片が残っていたらしい。
それは抱きしめられた瞬間に消えたけど、
照に憑いてたあの生霊が何故あんな事をしたのか、何となく分かった。
……あぁ、だから他の生霊と違って、俺に触ろうとしてたのか。
俺から、照へキスをする事。
それが望みだったっぽい。
……何故かは分からない事にしておこう。
本人もそう望んでいるだろうしね。
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Nika(プロフ) - なぎつゆさん» お気に召して頂けましたでしょうか(^-^;続きが書けたのは背中を押して下さったなぎつゆ様のおかげです。また、遅い更新にもかかわらず気長に楽しんで頂き、こちらがありがとうございますです。私にとっても思い出深い小説になりました。本当にありがとうございました! (2021年2月17日 1時) (レス) id: c151d8e75b (このIDを非表示/違反報告)
Nika(プロフ) - kabuさん» 優しいコメントありがとうございます!遅い更新の中、それでも楽しんで頂けたようで、本当にありがとうございます。つたない文章で恐縮ですが、また次作でも楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2021年2月17日 1時) (レス) id: c151d8e75b (このIDを非表示/違反報告)
なぎつゆ(プロフ) - こんばんは。完結おめでとうございます…!!ここまでの長編にして下さり本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました!私にとって宝物のような小説になりました…!! (2021年2月16日 23時) (レス) id: acb7f5a4e3 (このIDを非表示/違反報告)
kabu(プロフ) - はじめまして、作者様の小説とても好きでいつも更新楽しみにしておりました。完結おめでとうございます!本当に何回読んでも好きだなぁと思える作品に出会えて嬉しく思います…心が満たされました…!これからの作品作りも楽しみに待っています…! (2021年2月16日 22時) (レス) id: c61abcb023 (このIDを非表示/違反報告)
Nika(プロフ) - aytuさん» 最後まで読んで頂き、またコメントまでありがとうございます……!お気に召して頂けたようで、本当に良かったです。ありがとうございます。次作はいつになるやらですが、その時はまた、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 (2021年2月16日 15時) (レス) id: c151d8e75b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nika | 作成日時:2020年11月7日 22時