深紅.

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時間は自分が思っているより早く進むものだ
動画を撮り終えて編集を終わらせると約束の時間が近づいていた
俺は慌てて家を出てこーすけの間に合わせの居酒屋に入ると、見えるところにこーすけがいる

こーすけ「キヨ！久しぶり」

俺がこーすけの元へ行くと、こーすけは嬉しそうにそう声をかけてきた

キヨ「元気そうでなにより」

俺はそう返し、こーすけの向かいに座った
そのまま注文へという流れになった

こーすけ「キヨ、まだ禁酒中？」

俺の無駄な禁酒をこーすけは覚えてくれている

キヨ「おう、飲まねぇよ。俺は」

仮に飲んだとして勢いでAのことを言ってしまっては困る
いくらこーすけが“友達”だとしてもな

こーすけ「お前ら最近なにしてんの？」

注文した料理がまだきていない間、こーすけはそんなことを俺に聞いてくる

キヨ「フジとヒラが何してんのかはあんま知んねぇけど、俺は動画撮ったりイベントの打ち合わせしたりしてる」

俺は水を1口飲んだ

こーすけ「大変そうだな。俺とは別世界生きてるんだなあ」

こーすけも水を1口飲む

キヨ「こーすけも大変な世界で生きてるじゃん」

俺らの間を探り合いしているような会話が続く

こーすけ「まあな。最近は闇の蝶の足取りが消えて困ってんだよな」

俺は内心ギグっとしてしまった
どうこたえたら良いものかと思っている間に注文した料理がきた

こーすけ「美味そう、乾杯して食おうぜ」

お陰様で話はそっちにそれた

それからはこーすけのお酒が進み、最初のような探り合いではなく、今までの間を埋めるように話が弾んだ

もう俺の携帯では21時半をまわった
俺はその場の雰囲気で少し酔って、テンションが上がり、何故こんな質問をしたのか分からない

キヨ「なあ、なんで昨日電話かけてきたんだ？」

こーすけはお酒をくびっと飲んでこたえる

こーすけ「実は3人で俺の職場か家に来て欲しかったんだ」

キヨ「どうして」

こーすけはこちらに顔をよせて声を潜める

こーすけ「闇の蝶について話がしたい」

俺の酔いとテンションは一気に現実に戻された

こーすけ「明日、優先して職場に来てくれ。3人で」

そう、こーすけは真面目な顔をして言った

キヨ「わかった」

俺はその言葉しか出てこなかった
こーすけは満足そうに笑った

そして少し話すと22時になり、お開きとなった

こーすけと別れて1人、最俺ハウスと向かう
自然とその足は早くなる
無性にAに会いたくてしょうがない

焦りばかりが俺の中を埋めつくした

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