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第175話 ページ5

「まず無理だな。早めに玉砕した方が傷が浅くて早いんじゃね?」

親友を優紀をよく知っているのと同じで、司も幼馴染である西門のことをよく知っている。

普段、わがままで彼らを振り回すリーダーの司でも、さすがに友達のことぐらいは理解しているのだ。

「それより、俺らの事話そうぜ。いつまで隠す気でいるんだ?
いつになったら、お前の言う勇気が出てくるんだ?」
「それはもちょっと…」
「お前って、そういう女だったっけ?
なんか、最近俺が惚れた女と違う気がするんだけど」

つくしの胸が痛む。
一瞬、振られたような気分だ。

「だって、そんな簡単じゃないし」
「簡単じゃん」
「何人かの生活が変わっちゃんだよ?
道明寺には分かんないよ」

軽く鼻で笑う司は、立ちあがる。

「出たよ。お前は何つーかとそれだな。お前には分かっていて俺は分かっていないのか。
分かんなくて結構。一人で守り入ってろ」

つくしを残して、皆の元へ戻ろうとする司に何も言えず、背中を見送るだけになってしまった。

自分はどうするべきなのか、座り込んで考える。




別の場所で、(人1)はつくしと司と同じように偶然にも西門たちの会話を聞いてしまった。
彼の行動の真理には、薄々気付いていた。
だが、何も言わず聞かずにいたのは、(人1)も聞かれたくない過去やものがあるので、互いのためにもある程度距離を置いた部分があったからだ。

親しい間柄でも、領域を守っていた。美作もそうだ。
西門も(人1)が何かあったことには何となく感じているだろう。


そして、西門と優紀の会話を聞くのが終わったのはいいが、今度は司とつくしが何やら話している。
これ以上、人の会話を盗み聞きしたくない(人1)は耳塞ぎながら、そろりそろりと忍び足で体勢を低くして、皆の元へと戻っていった。

静まった中はそれぞれ、座っている。
(人1)は一人が家のソファに座り、肘をつく。司が自分たちのことを考えようと言っていたが、(人1)も同じである。明後日のことだ。

准一から家族のことは聞いたことがある。
両親が小学生の頃に離婚し、シングルマザーの母と暮らしていたこと。

念のためにと、誠にも准一の生い立ちや素性を改めて調べ上げさせた。
しかし、渡された書類には准一から聞いた通りに載っているものの、引っかかるものがあった。明確に口には出来ないが、(人1)の嫌な予感はよく当たる。

それが心残りのように、頭に存在して不安が拭えなかった。

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設定タグ:花より男子 , 西門総二郎 , 美作あきら   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:たいやき | 作成日時:2018年9月15日 18時

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