第127話 ページ7
「あったまきた！」
胡坐をかいて座る西門の怒号が部屋へと響き渡る。
司との殴り合いの喧嘩の翌日。
西門の家には美作と花沢が来ており、彼らがここに来るなり放った言葉がこの一言だった。
「今日という今日は許さねぇ！絶交だあのバカ」
落ち着けと美作は溜息をつきながらも、彼を宥める。
花沢はきょとんとした顔で西門を見つめたままだ。
昨夜、あの場にいなかった彼は美作から一部始終聞かされており、電話で呼び出されてここに来たのだ。
「おちつけ？この顔を見て言うか？」
西門の顔にはガーゼと絆創膏。
他にも所々、青くなった箇所があり、綺麗な顔立ちが台無しだ。
「笑ってんじゃねぇよ、類！」
吹き出して、膝を抱えながら笑う花沢に西門はまた怒り出す。
「だってさ、初めてじゃん。二人がやり合うの」
見たかったなと最後に言葉を付け加えれば、西門の額に青筋が立つ。
「どっちが強かった？」
「互角。ま、やや司が上だな」
初めから最後まであの場にいた美作は、彼らの殴り合いのシーンを思い出して質問に答える。
「とにかく！俺はもうアイソ尽きた、口も利きたくねぇ！！」
「愛想？」
「そんなものとっくに尽きてるだろ」
十年近く彼とつるんできた西門たち。
花沢と司の喧嘩があったときも、西門と美作は二人の間に入るような存在だったが、今回ばかりは西門には限界だった。
実際、西門や美作が愛想を尽きるほど、司にうんざりすることは何度もあった。
それでも、彼らの関係が続いていたのはそんな彼でも受け止め、司に短所だけではなく長所があるのを知っていたからだ。
この四人でいることが楽しい。
それが彼らの思いだ。
「（人１）は昨日来たの？」
思い出したように花沢は二人に聞く。
「あぁ、喧嘩の後に総二郎と帰ってたけど」
「俺の手当てしてもらった」
「ふーん」
（人１）はそのまま家に泊まっていけばいい、と西門に勧めたが、気分的に自分の家に帰りたいと持った彼は断った。
なんとなく、あのまま彼女の家に泊まるのは抵抗があった。
機嫌も悪く、彼女に当たりたくないと考えたからだ。
つくしの消息が掴めず、ずるずると彼らが過ごし、ようやく花沢が彼女の居場所を知った。
いつものように家でベッドに寝転がり、テレビを見ていた花沢はある番組で彼女を見つけた。
日本の漁村を紹介する番組コーナー。
明間村という場所だった。
海の近くで屋台を開き、焼きとうもろこしを売るつくしの姿が映っていた。
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揚羽 - 面白いです!!続編も楽しみにしてますね (2021年6月13日 17時) (
レス) id: c6646fb52d (このIDを非表示/違反報告)
たいやき(プロフ) - ネコさん» ありがとうございます！頑張ります (2018年6月13日 17時) (レス) id: 8ac49be7a6 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - part4移行おめでとうございます。更新頑張ってください応援しています。 (2018年6月11日 14時) (携帯から) (レス) id: 74ccaa5d41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たいやき | 作成日時：2018年6月11日 1時
