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『千冬、制服似合ってるね』

「マジすか?あざす!」




千冬は中学もブレザーだったから、
あんまり変わった感じはしないかもだけど。

中学生から高校生って、やっぱり大きいよなぁ。









「Aさん」









桜の木の下で、千冬に名前を呼ばれる。

その声に反応して千冬を見れば、いつになく真剣な顔をしていて。




『…千冬?』

「オレが何でAさんと同じ高校に通いたかったか、分かりますか?」






…あぁ、あの目だ。
引き込まれるような、エメラルドの瞳。






「何でオレが、Aさんと会ってるか、分かりますか?」



千冬は私に近付き、正面に立つ。









「Aさんの事、好きだからです」



どくん、と胸が鳴った。

考えてみれば、千冬はある時を境に変わった。


お見舞いに来てくれている時もなんだか距離が近かったり、
いつも私を心配してくれて、寄り添ってくれた。



私も千冬の事は、もちろん好きだ。


でもそれは、恋愛対象では、無くて。








『…千冬、私、』


「オレ、Aさんがマイキー君の事好きなの、知ってる」

『!』




千冬はゆっくりと私の手をとって、ぎゅ、と握った。




「Aさんがマイキー君の事好きでもいい。忘れられなくてもいい。
オレがAさんの側にいます。それで、いつか絶対オレの事好きにさせてみせる」





それじゃ、ダメですか?





千冬は私の目を見つめて、そう告げた。






『…私、マイキーの事、好きなんだ』

「…はい」


『気付いたら好きになってて、今でも忘れられなくて、』

「…はい」





 
 



 




 









『…でも、もう前向かなきゃ、いけないよね、』









私は千冬の手を握り返した。




「…え、」


『私、ワガママだし、可愛くないし、
無意識にずっと“彼”の背を追い続けてるかもしれない。
…それでも私の事、好きでいてくれる?』


「…もちろんです。
“オレが”Aさんを幸せにします」



 









_____オレといたらオマエは幸せになれない
 






 






 


こんな時でさえ、彼を思い出してしまう。
千冬、こんな女でごめんね?







『…よろしくお願いします』

「…っ大事にします、絶対に」









私たちは手を取り合って、笑った。

◆Surprisingly for the first time→←◆The beginning with him



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莉子(プロフ) - 重岡ゆう毅さん» わぁ…!!楽しみにしてますね(*´∇`*) (2022年4月2日 22時) (レス) id: e12f476466 (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - なつきさん» 続編出せてなくてすみません(^-^; 単行本を読み進めてはいるのですが、今後の展開をもう少し把握してからの方がお話書きやすくて…。内容考えてきてはいるので、もう少しお待ち下さいm(__)m (2022年1月12日 22時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 高校生編見たいです( ; ; ) (2022年1月11日 1時) (レス) id: 337fb59863 (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - 莉子さん» 実は本編の続編がこの夢を見ていたところから始まる予定です(´-`).。o0なのでここで完結、ではないので安心してください! (2021年11月7日 22時) (レス) @page28 id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - え…夢オチ、、ってことですよね、? (2021年11月7日 8時) (レス) @page28 id: e12f476466 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:重岡ゆう毅 | 作成日時:2021年9月22日 21時

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