__18 ページ19
.
茅野ちゃんと共に、
美術室へ向かう。
「そこに置いといて」
先生は、茅野ちゃんへそう言った。
茅「これ……」
茅野ちゃんが見つけたのは、
先生が描いた澪奈の絵だ。
切り裂かれた、無表情の澪奈の絵。
その下には、笑顔の澪奈の絵がある。
『素敵でしょ』
茅「！」
『…警戒してる？そりゃそうだよね、先生の仲間だなんて』
私は笑ってそう告げた。
茅「…Aは、なんで……」
「もういいよ」
茅野ちゃんが私に何か聞こうとしたのを、
遮るように先生が言った。
「茅野は戻っていい」
『茅野ちゃん、戻りな？』
難しい顔をした茅野ちゃんは、
美術室を出て行った。
「…お前なぁ、あんま蹴りとかするなよ
ちゃんとスタンガン渡しただろ？」
『蹴りの方が早いと思って』
「怪我したらどうすんだ」
ぺしっと私の額にデコピンをしてきた。
そしてマイクのスイッチを入れた。
「皆さんお待たせしました。
ただ今3年A組30名…あ、29名になってしまいましたが
彼らを人質にとっています」
先生、わざと30人って言ったな。
「返して欲しければ、SNS MINDVOICEの
登録ユーザーに一人100円ずつ送金ボタンを押して
入金させて下さい」
マイボイの登録ユーザーは、約500万人。
一人100円払えば、50億。
相当な額だ。
「MINDVOICEのユーザーの皆さんこんばんは。
恐らくあなた達はこの事件をエンターテイメントショーとして
楽しむつもりでしょう。
なので、100円はその見物料だと思って下さい。
それではよろしくお願いします」
先生はそう言うとスイッチを切り、
スマホを見つめた。
「楽しませてやるよ」
そのセリフが、
一体誰に向けてなのか。
分かるようで、分からない。
すると先生は薬を飲んだ。
『先生…大丈夫？』
「大丈夫だよ、それよりAは？」
『私は大丈夫』
そうか、と先生は頭を撫でた。
『先生、絵、描いていい？』
「あぁ、いいよ」
私は朝と同じ椅子に座り、
筆を持ち、キャンバスへと向かった。
今日あった出来事を思い出し、
色を重ねていく。
「Aの描く絵は、やっぱセンスがあるな」
『そう？』
「色の使い方が上手い」
先生は美術の先生だから、
褒められたら嬉しい。
私がひたすら色を塗り重ねている間、
先生は奥の部屋でごそごそ何かをしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
重岡ゆう毅(プロフ) - ライムさん» いえいえ！ (2019年2月16日 20時) (
レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
ライム - 何度も回答ありがとうございます！ (2019年2月16日 18時) (レス) id: 72283c4b34 (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - ライムさん» はい、拳です！手を描くのは苦手なので下手ですが、、笑 (2019年2月16日 17時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
ライム - 再びすいません「湧き上がる勇気」の絵に描いてあるのは拳ですか？ (2019年2月16日 17時) (レス) id: 72283c4b34 (このIDを非表示/違反報告)
重岡ゆう毅(プロフ) - ライムさん» この作品に出てくる全ての絵は、私がスマホで描いているものになります！ (2019年2月16日 16時) (レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：重岡ゆう毅
| 作成日時：2019年1月31日 17時
