【イナクロ】～あの人の姉はエルドラドにいる優しいのかわからないウザい系少女でした～ (ページ31)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:70,342 hit

二十九個目の消去ページ31

エイナムside

雷門とのサッカーゲームの中断を余儀なくされた我々の前に、再び彼女が姿を現した

勝手にどこかへ行っておいて、今更何をしに来たのか

…なんて、
彼女の放浪癖に今更文句を言っても仕方ないが

『どうやら良い結果は出せなかったようですねぇ』

｢…申し訳ありません｣

『ベータさんが心配してましたよ～?それにマスターの許可、もらってなかったんですってね』

悪い子ね、と言って彼女は自慢の髪をなびかせて、こちらへ近づいてくる

｢…独断は謝罪します。しかし雷門がこのような活動を続ける以上、排除は急務と考えます。

彼らの活動はリーダを…ベータをムゲン牢獄送り込むことにもなりかねません｣

『あら、私の心配はしてくれないんですね』

あなたを議長が手放すはずないでしょう、と言いたいところだったが、それはさすがに止めた

議長がどこからか突然連れてきたというのに、実力を確かめる間もなく
リーダーと同等な地位についた彼女

始めは自分を含め、多くの者が彼女に反発していた

実際彼女の力を目の当たりにした時は、それを認めざるを得なくなったが

『…それで。負けた原因は一体なに？』

彼女の瞳がｷｯと鋭くなるのがわかる

｢いえ…敗北したのではなく、正体不明の化身によって妨害され、敵は全員逃走しました｣

『えぇー…逃げられちゃったのぉ？』

｢…はい。これより、追跡を開始します｣

『…分かりました。十分に気を付けて、行ってきてくださいね』

そう言った彼女の瞳は穏やかに戻り、慈愛に満ちた表情をしていた

｢…yes、my leader｣

彼女はそれを聞くと微かに微笑み、本部へ戻っていった

｢…嵐のような人だ｣

｢レイザ…｣

後ろにいるレイザが呟いた

｢だが何かと我々をきにかけてくれる。そして何より、リーダーが…アルファが信頼を置いていた｣

それはとても珍しいことだと自分では思うのだが

猫のように気性が激しくも、愛らしい奴だとリーダーは言っていた

確かに彼女を動物に例えるのなら"猫"だと思う

｢…一体、何者なのだろう…｣

その疑問に答えられるものは、どこにもいない