成仏させてクレメンス【男主】 (ページ18)

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18話ページ18

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目の前の出来事に頭が追いつかない。

突然苦しみ出して闇から出た何本もの手に縛り付けられ消えていったA。

トントン「な、」

泣いとった。

痛みに耐えられなくて泣いたんじゃなくて闇から出てきた手の何かに怯えていた。

Aが思い出せないのは、

思い出そうとしても弾かれるのは、

全部あの闇から出てきているもののせいだ。

トントン「っ…」

縛り付けられる前、

Aの手を引っ張ってやれればよかったんだろうか。

なぜだか心が痛い。
Aが笑えば落ち着いて、

Aが焦せれば心配する。

Aが悲しめばこっちも悲しくなる。

トントン「……トン、君」

知らないあだ名。

でも俺を見てハッキリと、
嬉しそうに笑いかけてた。

Aが連れ去られ静かになった地下はもう用がない。

階段を上がろうと足をかけようとすると、

ロボロ「トントンちょい待って」

トントン「っ、ロボロ…！」

今度はしっかりと視界に映ってる。
オレンジ色の服がこの目にしっかりと。

それにゾムもエーミールも。

トントン「エミさんｯ…！！」

エーミール「トントンさん…簡潔に言うのでよく聞いてください。」

消えた事と再会出来た事に悲しみ嬉しむ隙を与えられる事無く喋り出す。

エーミール「前の持ち主はトントンさん、貴方の先々代です。名前が変わっていて特定が遅れました…。そしてAさんはトントンさんによく似た、先々代の息子の親友でした。書類が自室にあるので見に行ってもらえればなと。」

トントン「え、ま、待って、どういう事や……」

前の持ち主が先々代？

その息子とAが交友関係？

ロボロ「Aが言うとった。息子よりお前が先に死ぬべきだった、お前が死ねばよかったのに……らしいでトントン。」

トントン「何で俺に…」

ゾム「Aな、夕方になるまではずっと眠っとんねんけど…いつもいつも寝言なのか『トン君』って言うとった。」

エーミール「…お互いがお互いを忘れて思い出せないまま時が過ぎてるんです。どうか、思い出してAさんの未練を叶えてあげてください。先々代息子のトントンさん。」