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横に倒れそうになって落ちるよりは迷惑にならないか、とフードの男性に体を預け、素直に目を閉じた。こういう時、無理して起きてる方がろくな目に遭わないからね。特に私は。
…次に目を覚ました時には、丁度馬が立ち止まった頃だった。
「はぇ…もう着いた?」
「おん、着いたで」
「ひえー、あざまーす」
手を貸してもらい、地面に下りる。すると、後ろからタックルされ、軽くよろめいた。その犯人を見れば、当時よりも大きくなった妹だと分かった。
「…クリスタ?」
私がそう問えば、妹…基、クリスタはわんわんと泣き出してしまった。とりあえず抱え上げてやれば、しがみついて離れる様子はない。…これはまた、随分と迷惑かけたわ。
「ごめんよー、クリスタ。お姉ちゃんが不甲斐ないばっかりに悲しい思いさせたねー」
「全くだ」
低い声が聞こえ、その方を向けば涙を浮かべながら此方を見る両親がいた。…うーむ、予想以上に私って心配されてたんだなぁ。
「もう、そんな泣かないでよ。手紙出してたんだから生きてた事くらい分かってたでしょ?」
「何言ってるの…! 手紙なんて一通も来て無かったわよっ!」
「ほあ? まさかの此処で認識の差異が」
「無事で良かった…!」
どうやら、私は音信不通のない行方不明者という扱いだったらしい。いやはや、許さねぇぞあのクソ野郎め。手紙はちゃんと出すとか抜かしやがって、あのクソボンボンめ。
「…すみません、家族の団らんの途中ですが…」
「そう、ですね。クリスタ、リディから離れなさい」
「やだっ! お姉ちゃんまたどっかに行っちゃう!!」
「でもね、トントン様が―――」
「嫌ったら嫌!!」
おぶぁー…私人生の中で一番家族に愛されてるって実感してるわ、すげぇ申し訳ないけど…。まあいいや、さすがに迷惑だろうし。
「クリスタ」
「…何」
「お姉ちゃんの好きだった物、覚えてる?」
「…! ハンバーグ!」
「そうだね。お姉ちゃん、ハンバーグが食べたいな。パパとママと一緒に作っててくれない?終わる頃には帰って来るから」
私がそういうも、クリスタは俯いたまま返事をしない。随分と懐かれたなー…まあ、私がいなくなった時期はクリスタが丁度やんちゃしてた時期だしなぁ…。
「…絶対?」
「おうとも、指切りげんまんする?」
「…する」
小指を差し出せば、クリスタは同じように小指を出して来た。
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作者名：ゆうにゃん | 作成日時：2019年5月23日 21時
