夕虹百日の旱《虹》〈1〉 (ページ30)

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濵田は正座し地面におでこ打ちそうなぐらいの勢いで、何回も2人に向かって頭を下げた。

重岡はもっとと言わんばかりに高笑いをしている。

｢…俺、美花ちゃん派なんやけどなぁ……｣

中間が小さくボソッと言う。

｢淳太は、濵ちゃんの見張り役として送ったんや｣

｢見張りって何や｣

｢濵ちゃんが暴走させない様にする為の見張り｣

｢大丈夫やったよ!!俺、頑張ってファンって事を隠し通したから!!｣

｢それは俺が居てこそやろ｣

｢淳太行かせて正解やったわ｣と重岡が苦笑いをした。

｢淳太が行くんやったら、俺が行きたかった～!!｣

神山はわざとらしく頬を膨らまし口を尖らせる。

｢言っとくけど、陽奈ちゃんはおらんかったで?｣

｢でもMEIDORUのメンバーやから会いたかった!｣

ちなみに濵田の影響で、MEIDORUにハマった神山は最年長の陽奈推しである。

｢ファン2人行かせたら、絶対話進まんやろ｣

｢確かに、濵ちゃんだけで話が脱線しそうになったわ｣

｢それにしても、真凜ちゃん変装してても可愛かったわ～｣

濵田は中間の言ってる事を気にしてないのか、それとも聞こえていなかったのか、のんきに惚気話をする。

｢自己紹介するまで、ずっと気付いてなかったけどな｣

｢真凜ちゃんの変装が上手かっただけやもん!!｣

中間は｢はいはい、そうですね～｣と適当にあしらう。

｢仕事に私情持ち込むなよ?支障が出るからな｣

｢分かってるって～!｣

｢コイツ、もろ私情で仕事引き受けてたけどな｣

｢おい｣と重岡が突っ込む。

｢だってしゃーないやん!!あんな手紙見たら!!｣

｢手紙?｣藤井は首を傾げて聞き返した。

｢あっ、依頼内容伝えていなかったな。実は真凜ちゃん、殺害予告されて…｣

｢は!?｣

あまりの衝撃さに、神山は今度こそ食器を落としてしまった。

しかし、それに気付いた中間の“力”のお陰で皿が床に着く事は無かった。

｢あっ…ごめん、ありがとう｣

中間は｢おう｣と頷く。