【歌い手】人間不信。３ (ページ42)

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【第九十三話】ページ42

「・・・・と、いうことです」
「なるほど・・・っというかそれってもう結構Aちゃん知ってるってことになるよねそらるん」
「・・・・まあ、うん」

ふう。松下さんにこれまでのこと話してたら疲れたよきゅっぷい。

・・・でもなんかいろいろややこしいなぁ。というかなんで松下さんここにきたんだろう？

「そういえば、なんで松下さんここにきたんですか？」
「え？ああそれはね、」

と言ったところまでの状態で、松下さんは数秒硬直した。

そして口を開いたかと思えば、

「説明すんのめんどくさいしやっぱいいや！」

と爽やかな笑顔で言った。

・・・・いやいやいやいや！

「ちょっと待って下さいよ！私そうやって言われたらすごく気になっちゃう人なんですけど！？」
「別にいいじゃん！気にしない気にしなーい！」
「いやそんなこと言われても・・・！！」

松下さんはたまにこういうところがあるから少し焦る。

ちなみに松下さん、性格的にＢ型っぽいが、実は違うらしい。でも何型かは知らない。

「ま、そのことはあとでゆっくり話すから。

今は私のことより、灯麻くんのほうが気になってるんじゃない？」
「！」
「どうして私たちが灯麻くんの存在を今まで黙っていたのか、だよね？・・・うーん、難しいなぁ。ね、そらるん」
「・・・そうだね」

あのいつも元気な松下さんも困ったような顔をしている。

つまり、それほど深刻なことなのだろうか。

「そんな顔しなくていいよ！・・・確かに少し聞いてる側としたら、つらいかもだけどね」

やっぱり、そうなんだ。そらるさんも悲しそうな顔をしている。

これから聞かされることを予想し、唾を飲みこむ。

でも、聞きたい。聞かないといけない、そう直感的に思った。

「・・・・聞かせて、ください。どうして言ってくれなかったんですか？」

そらるさんと松下さんが顔を見合わせる。

そして私の方を向き、そらるさんが口を開いた。