【歌い手】人間不信。３

【第七十五話】 ページ23

またもや私の脳内を直撃するような事実が飛んでくる。





この人は灯油さんではない、ということ。




じゃあ私の目の前にいる人は誰？灯油さんのコスプレしてんの？





そんなわけあるか。そんな人この学園にいないわ。





でも、あのまふまふが見間違えたくらいなんだ。

それに顔だちだって似てるし、というか眼帯の位置が逆だったら本当に灯油さんみたいだし。





誰なんだろう、この人。




それに、なんで泣いてんの？





考えれば考えるほど疑問があふれだし、もう言葉が喉からでそうだった。


しかし灯油さん(？)はそんな私を見て怯え、首を立て続けに小さく横に振っていた。




これじゃ質問攻めにしたいけどできない。





・




・



よーし、なら一つに絞ってやろう。



それなら簡単だ。




・





『あなたは誰ですか』



そう聞くだけなら良いだろう。





・





「あの」






すっかり怯えきっている灯油さん(？)に呼び掛ける。




たった二文字の言葉なのに、それでも灯油さん(？)はびくっと肩を大きく震わせ、



目に涙をたくさん溜めた。




・・・・やっぱりなんか罪悪感湧くな







「・・・聞きたいことが、あるんですけど」





こんどはゆっくり落ち着かせるように言ってみる。


すると灯油さん(？)は少し安心したのか、大きく震わせていた体を少し落ち着かせた。




今なら大丈夫だ。きっと彼も聞いてくれる。





・




そう思い、『あなたは一体誰ですか』と言おうとした時だった。






カラン、と何かが落ちた音がした。

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