検索窓
今日:28 hit、昨日:1 hit、合計:16,340 hit

【第七十四話】 ページ22

「・・・・・灯油、さん?」






少し震えた声で灯油さんの名前を呼ぶ。



すると灯油さんは私の目を見るなり目を見開き、強引に肩に置いていた私の手を払い、

そのまま座りながら後ろへと下がっていった。






しかし下がるにしても限度があり、灯油さんはベットの側面に頭をぶつけた。



ゴン、と痛そうな音がするが、灯油さんはお構いなしに首を小さく振っていた。


右目の眼帯の色が変わるほど、涙を流して。






 
・・・・『右目』?








「・・・・あれ・・・」






違う。


灯油さんは確か、眼帯を『左目』にしていたんだ。


何を言ってもはずそうとしないで、ずっと左目に眼帯をしていた。





じゃあ、今目の前にいる灯油さんは?




―――――――――『右目』に眼帯をしている。






「・・・・・じゃあ、この人は、灯油さんじゃない・・・?」






呟いて、はっとした。



眼帯だけで決めるなんてだめだ。もしかしたら灯油さんも気が変わって右目に変えたのかもしれない。




でも、灯油さんってこんな大げさに泣くか?




ヘットホンを外した時もそうだ。

普通の灯油さんならきっと怒るか何かしてくるはずなのに、私の方を見ないで震えだした。



そして私が肩に手を置いた瞬間(かどうか分からないが)、泣きだした。



灯油さんがそんな些細なことで泣くわけがない。




じゃあ、今私の目の前にいるこの人は、灯油さんではない?







「・・・・・あの」
「ひっ・・・!?」






私が声をかけると、灯油さん(?)はまた小さく悲鳴をあげ、震えだした。


少し罪悪感がでてくるが、構わず話しかけた。





「あなたは、灯油さんですか?」





思い切って聞いてみる。



すると灯油さん(?)は震えていた体をピタッと止め、驚いたように私の顔を凝視した。


















―――――そして数秒後、ゆっくりと首を横に振った。

【第七十五話】→←【第七十三話】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , BのL
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

レイネット@二次元Ioveちゃん(プロフ) - ルリ@TGFさん» ありがとうございます!頑張りますよおおおお\(`д´\)<ウオオオ!! (2015年1月27日 22時) (レス) id: 071bc162a8 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@TGF(プロフ) - 外せてます。更新ファイトです(*´∇`*) (2015年1月27日 0時) (レス) id: 93869995fe (このIDを非表示/違反報告)
レイネット@二次元Ioveちゃん(プロフ) - ルリ@TGFさん» ごめんなさい、警告ありがとうございます。オリフラはずせてますかね・・・? (2015年1月26日 23時) (レス) id: a0ad653828 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ@TGF(プロフ) - オリフラ外してくださいね。 (2015年1月26日 22時) (レス) id: 93869995fe (このIDを非表示/違反報告)
レイネット@二次元Ioveちゃん(プロフ) - 漓霧@友達プリーズさん» ありがとうございます!!そして申し訳ないのですが、ユーザー名を教えていただけますか? (2015年1月21日 20時) (レス) id: 071bc162a8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:レイネット@二次元Ioveちゃん | 作成日時:2014年10月18日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。