#015 ページ20
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図書館のある丘を下りながら、先程の私の行動にニーアはどうやら色々と疑問を抱いていたようで、私が孤児院にいた頃を思い出しながら話すと、だからヨナの扱いが上手かったのかとニーアは納得したような晴れやかな笑顔を見せた
妹について聞くと、少女は先程の通り少し人見知りがあるみたいで、いつもなら兄のニーアの背中に隠れてしまうと言うのだが、今回のような事は初めてで、兄自身も驚いていたらしい
「きっと、大好きなお兄ちゃんに甘えてるんだよ」
「そうかもしれないね」
彼は右手を口に添えてクスクス笑った
見た目は年下に見えるほど幼く見え、間違えれば異性ともとれるこの少年に少し近寄り難さを感じてはいたのだが、どうやら私一人だけが勘違いをしていただけのようだ
見た目は可憐で儚いが、根はしっかりしていて、年相応の反応を示す
──凄く話やすい
「そうだ。羊って、どうやって狩るの?」
「え?…あ、それは……、こう、……スパッ…と」
「……、…スパッ…?」
「……、…そう、スパッ…」
甲高い風の音が耳から耳へ流れていった気がする
「は、…あはは」
「無理しなくていいよ、薬草さえ集めてくれれば」
……なんて彼は言うが、いくらポポルの言葉であってもニーアに気を遣わせてまで私が着いて来ているという事には変わりはない
──せっかく円月輪も持っているのに、使わないなんて、もったいないよな…
「…私、頑張る!強くなる!」
ならば私もこの少年と共に腹を括ろう
ニーアも羊を狩るだなんて嫌だと思うのはきっと私と同じ気持ちだ
なら私だって覚悟を決めるしかあるまい
先に行く彼の後を追うがままに歩いていると、いつの間にか外への門の下まで来ていた
ニーアは村の門番さんに挨拶を交わすが、私はそれどころではない
これから外へ出るのだ。目の前にある大きな門を見上げる
「大きい…」
「ここから村の外に出られるよ。……本当に、大丈夫?無理してない?」
「うん、大丈夫!腹は…括ったつもり……」
「そ、そっか。けど羊は何もしては来ないだろうから、きっと大丈夫だとは思うよ」
「行こう」ニーアの優しい一言に自然と引き込まれ、私はとうとう村の外への一歩を踏み入れる
暫くは谷底が囲まれ、ジメジメとした所が続いたものの、抜ければ広大な広い草原が広がっていた
それに私は感嘆の声を上げているとニーアの中ではふと疑問に思った事が一つ、頭の中で浮かぶ
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友那(プロフ) - イヴィさん» コメントありがとうございます!そう言って貰えると凄く嬉しいです!これからもよろしくお願いします♪ (2017年7月1日 11時) (レス) id: b577400daf (このIDを非表示/違反報告)
イヴィ - とっても面白いです一気に読んでしまいました(//∇//)続きがすんごく気になります更新頑張って下さい応援してます! (2017年6月30日 23時) (レス) id: 83661986d6 (このIDを非表示/違反報告)
友那(プロフ) - テュランさん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2017年3月22日 11時) (レス) id: 80bca4f763 (このIDを非表示/違反報告)
テュラン - 面白いです! 続き待ってます (2017年3月22日 9時) (レス) id: 5013c95259 (このIDを非表示/違反報告)
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