No.175 ページ7
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一方その頃、プロヒーローマニュアルの事務所へ職場体験へ訪れていた飯田は兄の仇を討つため、パトロールの傍らヒーロー殺しステインの手がかりを探っていた
そんな中で起きた大規模の爆発による火災事件が発生し、このどさくさに紛れて犯行に及ぶかもしれないと打ち、マニュアルには無断で路地裏へ足を運ぶ
ただの推測だった。それなのに運が悪いのか良いのか望んだいた瞬間、ステインとの交戦に持ち込めたが敵の方が何手も上手で一人では叶わず、腹を下にして地面に伏していた
復讐、正義が混じった感情から出てきた「殺してやる！！！」の言葉
自分でも驚く程の憎悪と怒りに満ちた声だった。それにステインは臆する訳がなく、「あいつをまず救けろよ」と自分のように地面に伏せられたプロヒーローへ親指を指した
「自らを顧みず他を救い出せ。己の為に力を振るうな」
目先の憎しみにとらわれ、私欲を満たそうなどヒーローから最も遠い行いだ
「だから死ぬんだ」
体が、動かない。今すぐ立ち上がって振り下ろされようとしているナイフを蹴り飛ばしたい
そんな簡単な事が出来ていた筈なのにそれが叶わない…
「じゃあな、正しき社会への供物」
「黙れ…、黙れ！！」
『天哉が憧れるっつーことは俺、すげえヒーローなのかもな！』ふと過ぎる幼い自分に言ってくれた兄の言葉と屈託のない笑顔
兄はよく笑う人で明るく、皆の太陽なような存在だった。それが、この男が笑顔と夢と、全てを奪っていった
兄も、自分のように地面に伏せられ、深く傷を抉られたのかと思うと更に怒りが込み上げてくる
「何を言ったってお前は！兄を傷つけた犯罪者だ！！」
決死の叫び。しかしステインはまたも顔色を変えずとうとうナイフを俺に振り下ろした
…その時だった
緑の閃光が振り落ちる刃を、覚悟した未来を蹴破った
自分より小柄であるのに頼りになる背中、自分が羨望し、いつの間にか憧れていた背中がステインを挟むようにして立っていた
「緑谷くん…！？」
「救けにきたよ！飯田くん！！」
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