No.188 ページ20
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止血が済み"個性"の解除、火傷の粗熱が収まり氷結で傷口を軽く塞いだ後担がれる直前「いい、慣れてる」と断ってそのまま立ち上がった
「拘束して、通り出よう」
「何か縛れるもんは…」意外にも次に話を切り出したのは轟であった。動きを封じるなら……
「氷結は？ダメ？」
「それだと目覚めた拍子に体割れちまうかもしれねえ」
「念の為武器は全部外しておこう」と緑谷が体中に備えられた装備を外していくのだが…、外しても次から次へと装備が出てくる…
こいつ、意外と用意周到なんだな…なんて余計な事を考えてしまった。……意外と言えば…
「ヒーロー殺し・ステイン。言ってたこと、共感できたのに何がアイツを、歪めたんだろうな」
隣で静かに立ち尽くす飯田。命を勝ち取り、戦いを勝ち取ったのに、不安の顔を拭わない彼に「大丈夫か？」と声をかけてみると、何かを考え込んでいたのか遅れて答えた
「…ああ。腕なら、止血しておけば」
「それも大事、だけどそっちじゃない」
アーマーの胸元をノックするように叩くと響く鉄の音。私が言いたいのは身体的ではなく、心の問題だ
立て続けて気を張って、ヒーロー殺しの言う事の否定を許してはならない、複雑な思いで戦ったのだ
音が響いたついでに私の傷も響いたが、まあ気にする事はない。私が気にしていたら飯田だって気にして気を遣うだろう
「あんた、この件私達は関係ない、そう言ってたけど私はまあ関係あったよ。さっきも言ったけど」
「あんた通してヒーロー殺しに会おうと、してたんだから」
最初は心配からだった。しかし途中からその境が分からなくなってきたんだ。最低だよ
飯田の惜しむ空気を肌で感じる。惜しんだって、私があんたを追いかけていなければ…、緑谷や轟が追いかけていなければ…死んでいたかもしれないんだから
命あっての物種ってやつだ
「あんたは、大丈夫だ」
「……五十嵐くん」
安心させてやりたい。そう思って言ったのに一瞬意識が飛ぶ。ふらついた足元、瞼に力を加えられなくなったが、何とか意識にしがみつく
もちろん心配されてしまうわけで…
「大丈夫か！？」
「あ、ああ、平気。ちょっとした疲れ」
なんて言うと今度は轟が火傷の事を気になってしまったみたいで、「ああ、キリがない。病院行くぞ、全員で」と声を張ると男四人、緑谷、轟、飯田、プロヒーロー達は「お、おう」と歯ごたえのない返答を聞かせるのだった
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