No.183 ページ15
＿＿＿
…何が、ヒーロー。共に守られ、血を流させて！
対峙した時のステインの言葉が過った「あいつをまず救けろよ」と
罪を思い知らせんが為に僕は兄の名を使った。入試から何も変わっちゃいない。目の前の事だけ…、自分の事だけしか見れちゃいない…！
『天哉もヒーローに？』数年前、兄に聞いたヒーローを志した理由
『迷子を見かけたら迷子センターへ手を引いてやれる。そういう人間が一番かっこいいと思う』
そう言っていた兄がとてもカッコよく見えて、俺はそんな兄に憧れ、同じ理由でヒーローを志した…はずだった
…お前の言う通りだ、ヒーロー殺し。僕は彼らと違う…未熟者だ。足元にも及ばない。それでも……
「氷に、炎」
緑谷と五十嵐が近接で応戦する中、轟の炎が舞い地に凍結が這う
天地にぬかりはないはずだ。しかしその攻撃が手練れの犯罪者に当たることはない
「(…んで避けられんだよコレが！)」
「言われた事はないか」
「"個性"にかまけ、挙動が大雑把だと…」ヒーロー殺しにそこまでの分析力と学習能力…。ここまで量られたのならもう成す術はない
刀を地面と平行に轟の胴を目掛けて振るう
「化けモンが…！！」
目の前で待ちはだかるのは同期の、共に同じ志を持ち、競い合う友の…死
今、ここで動かなきゃ…！二度と、もう二度と彼らに、兄さんに…！
追いつけなくなってしまう！！
「轟！！」さっきまでヒーロー殺しと近接で殴り合っていたのは五十嵐だった。瞬く間に目の前にいた男は援護していた轟に迫っていた
遠距離から先に潰しちまおうってか…！手を伸ばしても届くはずがない
誰か轟を…！
地を這うような唸るエンジン音、狭い路地裏ではよく響くその音に思わず顔をしかめる
「レシプロ…」
「バースト！！」爆発音に似た音と共に男の刀が折れて宙を舞い、錆びれた刀の刃は遠くへ飛んでいく
「(速い…！)」
「…すっげぇ…」
五十嵐は腹から出た声で感嘆の声をあげ、飯田は次の一手でステインを蹴り離した
体育祭で見せた大技レシプロバースト。大振りの攻撃で迫っていたヒーロー殺しがすぐ対応できるはずがなく、ここまで涼しかったはずの男の顔色が曇った
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
