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「ん？何だって？」
「えっと、そのランプをどうしても譲ってほしいんです」
亡くなった父の形見なんです。アラジンの苦し紛れのウソの理由に、私達は思わず心配になるが、商人はどうしようかと考える素振りを見せる
「……安くはないが、払えるのかね？」
「ばっちり！」
「そう！なんといっても王宮の……」
「ドナルド！」それ以上は言っちゃダメだよ。そんな意味も込めて私が怒鳴ると、慌ててドナルドは両手で口を抑える
「他のランプも見るかね？」
「いや、どうしてもそれじゃないと……」
「では、お譲りしましょう」
「ただし、代価として、あたしなんぞが見たこともない財宝が欲しいですなあ」怪しく笑いながら、長く上品な黒い髭を撫でながら、流し目で私達を見る
「たとえば王宮にあるような……」
…やっぱり聞こえてしまっていたか……
そこまで同等のものは用意出来ないが、それ相応のものを持ってくると約束して、店から出た
「財宝はマズイなあ」
「王宮にたくさんあるんだよね？」
「僕のものじゃないし、それに理由を話したら大騒ぎになっちゃうしなあ」
確かに理由も理由だ。ジャファーのランプと交換する為に、財宝を分けてくれ、なんてこと王宮の者は疎か、関係者に頼めるわけがない
そこで一言、困り果てた私達に救済の手が差し伸べられた
「あのさ、財宝なら魔法の洞窟にたっぷりと…」
「…そうか！」
「魔法の洞窟？」
「ジャファーを封印した、あの洞窟さ」
とある鍵で開かれる、金銀財宝がたくさん詰まった洞窟
その洞窟の入り口は獅子の姿をしており、欲の持たぬ者は快く迎え入れ、欲を持つ者には容赦なく閉じ込めてしまうという、恐ろしくも、夢のある洞窟が魔法の洞窟なんだそうだ
人工的に作られたように見えるが、誰が作ったかという事は世界の誰も知らないというその洞窟なら、誰のものでもないし、黙って持って行ってしまっても誰も文句を言わない。そう考えたアラジンは頷いた
「よし、イアーゴ、案内してくれよ。宝物が無事に手に入ったら、おまえの反省も信じてもいいよ」
「うん、まかせろ！」
小さな胸を張って、大きく腕で叩くイアーゴ
翼……という方が正しいのだろうか
何はともあれ、さっそく砂漠へ向かう為にバザーへ買い出しに出るのであった
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