#068 ページ9
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逃がすまいと以前から設置されていた罠を何とか潜り抜けて、暗い地下道を抜けるとビーストの部屋へ。そこでは、部屋の主であるビーストと、黒いコートを着た大柄な男が二人で何かを話していた
男はフードを深く被っていて、顔は伺えない
ソラは気兼ねなくビーストへ話しかけるが、男から感じる、強く禍々しい気に、私は半歩下がった
男が立ち去ったその時、感じていた気は綺麗に消え去り、その代わりにさっきまで怯えている様な気を発していたビーストの気が、がらっと変わった
＿＿私は一度、それを感じた事がある。…それは怒りだ
気付かないソラとコグスワースは、只々友達として、主従関係として近づくが、ビーストが握っている拳は、徐々に強まっていき、彼の目が赤く光る
「待って！皆！」
私が声を掛けた時にはもう遅く、ビーストは目の前にいるソラに鋭くて硬い爪を向けた
だがソラは、自身の反射神経に救われた。間一髪、爪が掠る直前に躱したのだ
「な…、どうして！」
「わからない……。でもさっきの男が何か言ったのかも」
「じゃあ、ビーストは黒いコートの男に操られてるってこと？」
原因はわからない……。……が、その可能性は大いにある
男に操られているのか、男に何か吹き込まれ、それに怒りを感じて我を忘れているのか……
とにかく、彼の目を覚まさせてあげなければ、事態は何も変わらない
私とソラは、左右にそれぞれ二手に分かれ、同時にキーブレードを振った。しかし、ビーストはその屈強で、強靭な腕でそのキーブレードを受け止める
「ビースト！ホロウバスティオン出会った時のあの覚悟はなんだったんだよ！俺、お前の覚悟に勇気をもらったんだ！」
ずっと唸ったまま、左右から振り落とされたキーブレードをそこから動かさず、止めたままでいる
「……そうだ、私もあなたに助けれました！あの時……、城がハートレスでいっぱいになった時にあなたが助けてくれなければ、私は今ここにいない！」
「聞いてくれ」と言わんばかりに、キーブレードを持つ手を少しずつ加えながら私も自分の中の想いを伝えた
それが伝わったのか、ビーストは怒りの形相は変わらなかったものの、こちらを見てくれた
約数秒。彼と目線が交わり、まじまじと私の顔を見る
そして、目の色は怒りの色ではなく、以前の優しいビーストの目の色に戻った
どうやら目を覚ましてくれたようだった
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