#064 ページ5
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「このあたりから地下へ行けるはずなんだけど……」
難なく西の棟へ辿り着き、ベルが言っていた扉であろう場所へ行くも、大きなタンスに邪魔されてこれ以上進むことが出来ない
まあ、退かせば通れるだろう。ソラはタンスを扉の前から少し動かすと、タンスが突然喋り出した
「ちょっと、何するの！？」
「わっ！！？」
「ご、ごめんなさい。あの、ベルに頼まれて地下牢へ行こうとしただけなんです」
動くタンスにまだ驚きつつも、何とか事情を伝えると、わかって頂けたようだ
これにはソラ達もガッツポーズを見せる。おまけにウインクも
……おいおい。
「おやまあ。仲間たちを助けてくれるのかい？
こりゃあ、驚かせて悪かったね。私はね、もとは人間だったのさ」
「人間？」
「ええ。今は魔女の呪いでこんな姿だけどね。王子がビーストに変身させられた時、一緒にタンスにされちゃったのさ」
「王子がビーストに！？」「ビーストは王子様ってこと！？」今まで知らなかった事実にタンス以外のこの場にいる全員が、飛び跳ねるように驚いた
…そんな話、まだ聞いた事が無かったから
ふと、ベルが言っていた「自分の事はあまり話す方ではない」という事を思い出し、その言葉の意味を、今この場で理解した
「そう。甘やかされて育った冷たい王子だったけどね」
「魔女の呪いって……何？」
「…あれは寒い夜のこと……」
暫く間を開けて話すタンスだが、暫くの間を引っ張ったが「やっぱりやめておく」と語る事を止めた
「それよりも、早く仲間を助けてあげて。詳しい話なら彼らから聞けるわ」
「そんなあ……」
「だって、地下牢はとっても寒いの。時計には辛い場所よ」
タンスが最後に言った「時計」という言葉。色々気になりながらも、私達は地下室への扉を開けた
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