#063 ページ4
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エントランスホールとは違い、幾分か明るい東のホール
窓から差し込む月夜の光が実に幻想的で綺麗だ
「シーッ」ベルがいると思われる部屋の前、ソラは私達の顔をそれぞれ見て口元で人差し指を立てた
室内から聞こえる美しい女性の声。この声がベルなのだろうか。何やら困っている様子だ
「よーし」
「ドナルド!」
妙な気合を上げ、扉へ突進するドナルド。だが鍵は空いていた様で、突っ込むだけ無駄になってしまった
「あー、どうなってんだよ!もう!」聞いていた話とまるで違うじゃないかと、ドナルドは不満そうに声をあげた
「まあ、来てくれたのね!?」
すると、美しく、綺麗な顔立ちをした女性が、太陽のような笑顔を浮かべて此方へやって来ると、本当に嬉しそうにドナルドを力強く抱き、ソラ達、三人の名を呼ぶ
「あら?もしかして、あなたがサツキ?」
「え、どうして私の名前を?」
「ホロウバスティオンで一度ね、アリスやジャスミンから聞いたのよ。その時、あなたはまだ眠っていたけれど」
あ、私が捕まっていた時か。一人そう納得するも、捕らわれていたその頃を思い出すと思わず頭を抱えてしまう
「下ろして……!下ろして!」まだ抱き抱えられていたドナルドは、小さく暴れて訴えると、彼女は謝りながら彼を解放した
「ビーストは?」先に話題を振ったのはドナルドであった
「西の棟だと思うけど……、最近話してないのよ」
「何かあった?」
「うん……。あら?」
「それで来てくれたんじゃなかったの?」少し目を見開きながら問うベル。
ごめんなさい、一切の事情を知らずにここへ来ました……
「でも、せっかくだしね」
「だな」
ずっと愛し合っていた二人の間に、一体何があったのか。聞いてみると「様子が変だ」と彼女は答えた
「その原因を知っていそうな人たちが地下牢に閉じ込められている」「だから助けてあげたい」と訴えるベルだが、いまいち状況を掴めない
「えっと、誰が誰を閉じ込めたんですか?」
「ビーストが、お城の人たちを」
「どうして?」
「それがこの事件の謎」
ベル、ソラ達曰く、ビースト自身あまり多くを語る性格では無いらしく、自分の事となれば、尚更話そうともしないらしい
「なるほど、それで、その地下牢はどこにあるの?」
「西のホールに地下倉庫の入り口があるらしいの。牢屋はその先ね」
「ここから反対側の棟よ」最後に正確な場所だけ教えて貰うと、私達は直ちにその場へ向かった
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