#044 ページ9
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「おまえたち、名はなんという？」
シャン隊長自ら私達に声をかけ、そう問われるとそれぞれ名乗りをあげる「我が隊へようこそ」と笑顔で迎える
ピンの名乗りにはシャン隊長は聞く耳も立てぬまま、「おまえは家へ帰った方がいい」と言い捨てた
「そんな…、それでは家名に傷がついてしまいます！」
「我が軍の名誉の方が大事だ」
隊長の気持ちはわかる。だがそこまで言わくてもと私達が内心思っていると、頑なに迎え入れようとしない隊長に怒ったムーシューは「この石頭隊長め！」と声をあげる
これには隊長も堪えたようで、眉尻をピクリと動かす
だがムーシュー、頼むからピンのためにも黙ってあげてくれ。さらに信憑性を失ってしまう
しかし、「ピンも頑張って練習すれば、じき強くなれるよ」こう言って救い舟を彼女に差し出したのはソラであったが、隊長はすぐによしとは答えず、曖昧なまま
それにソラは「何か任務はないか？」とピンの手柄を利用したお手伝いの提案を投げ掛ける
隊長はこれを『試験』と捉えたようだ
しばらく考える素振りを見せると、兵士の一人から一枚の資料を受け取り、見ながら話す
「我々の任務は、シャン・ユーの軍勢を迎え撃つことだ
やつらは山道をやってくるはずだ」
「シャン・ユーを倒すぞ！」元気に意気込みを見せる、そんなドナルドに隊長は「それは無理だろう」ときっぱりと言った
「おまえたちは隊に先立ち、山の様子を探ってきてもらおう」
つまりは偵察。上手くいけばこちらの作戦は有利となり、下手すれば敵にこちらの様子が筒抜けとなる
これは任務を隠密に遂行出来るか試されるという事もあるため、下手に動けはしない
信用されていないのか、されているのか……、判断がやりずらいところだ
これから隊長に、ピンの事を認めさせなくてはならないのに、能天気なソラは楽勝だというように笑う
しかしピンは不安そうだ
大丈夫だろうか。私は心配になる
「試験とはいえ、重大な任務だ。気を抜くなよ！」
軍隊特有の返事を返す私達はその後この先、水辺のある関所へと向かった
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