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シドの言っていた城の通用口近くまで来て居るはずのレオンの名をソラが呼ぶ
辺りを見渡したところ人の通りはなく、道中に何度か敵と遭遇したからここまで来られるのはかなり限られてくる
そんなところなのにその、『アンセムのコンピューター』というのが本当に存在するのか疑いそうになる
通用口の近くまで来たと言ってもその通用口自体が目の前にあるわけではなかった。とにかく進んでみようとした時、「こっちこっち」と手を振るエアリスの姿があった
「アンセムのコンピューターが見つかったんだって?」
「うん、王様も興味シンシン」
「王様も?」
「レオンと一緒」微笑むエアリスにグーフィーとドナルドは念願の再会に一度ピョーンと飛び上がった
「王様に会えるぞ!」
「リクは…」
問うソラに、エアリスは瞼を閉じて頭を横に振って後ろに束ねた髪を揺らした
そう簡単に会えるはずがない…、か
「王様に聞いてみます」
「コンピューターで何か分かるかもしれない」
「うん。そうそう、皆、あっちにいるよ」
エアリスは人差し指を伸ばして、通用口がある辺りを差した。彼女は「また、別の用事あるから戻るね」とマーリン様の家へ戻っていき、彼女の差した方向に足を運んだ
そこはもう、10年、いや、それ以上前に放置された廃墟になっていて、落ちた瓦礫、剥がれた壁で道が塞がっていたりと道が入り組んでいた
たまに分かれ道もあったりして、私とソラで左右に分かれて指を差して「こっちだ」なんて一緒に言って、「ソラの勘はアテにならない」と辛辣な言葉をドナルドが送るとその道が間違って瓦礫の山になっていたりして、それはそれは迷った
ようやく書斎に辿り着いた頃には皆息を切らせて入って壁際の方、机の前に各々もたれて座り込んで疲れた足を癒す
「アッヒョ、ここまで長かったねえ」
「だよなあ、何がアテにならない〜だよ。ドナルド一人だったら絶対迷ってた!」
「グワッ!ソラだって、今までも何度も間違えてたじゃないか!」
「はいはい、ケンカしない」
座ったまま一息着いて私は辺りを見渡した
本や難しい言葉の書かれた紙はバラバラに散らかっていて、まるで嵐が来たみたいだ。私は一枚拾い上げて読んでみる
…難しい事ばかりで思わず眉間を歪ませる
でも、街を治めて、この世界の偉大な研究者ならこんな事にはならないはず…
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