#201 ページ9
.
「シド、かなり大変そうだったな」
「街の復興に頑張ってる途中でこれだもんね、怒りたくなる気持ちわかるよ」
汗水流してコンピューターの電子的な眩しい光を四六時中浴びながら街の管理を徹底して、タバコに溜まりに溜まる灰皿も眉間にシワを寄せるシドも簡単に想像出来る
人の目でしか分からない所はレオンやユフィが管理して、エアリスは持ち前の明るい性格で街のみんなの希望となっているだろう
それをずっと一年以上も続けているのだろうと考えると頭が下がる
そうこうしているうちに城壁広場を抜ける直前、背後から聞き覚えのない少女の声が耳に届いた
いや、口ぶりや落ち着きの口調からは女性、なのかもしれない…
「君、再建委員会の人かな？」
何せ、見た目がとんでもなく小柄、妖精のような容姿のような女の子が、しかも三人もいたのだから少し驚いた
「レオン達はどうしてるの？」
「今は城の通用口の方だって」
「チャンス！」
「何が？」
聞いてきた女の子は三人の真ん中に位置しリーダー格であろう、大人らしさがあってオッドアイが印象的だ
嬉しそうに言った女の子は私たちから見て左側に真ん中の女の子の傍で浮いていて、金髪と長いマフラーがよく似合っていた
そして右側に浮く鋭い赤目に銀の髪の短い女の子は「報告だ」と左二人に提案した
「誰に？」
「そりゃリーダーよ」
「そうそう、マレ……ッ！」
金髪の女の子のセリフが都合に合わなかったのか、他二人は慌てて手で口を抑える
確かに、「マレ」までははっきり聞こえたけれど、その先はゴモゴモと二人に抑えられてよく聞き取れない
……怪しい。私達は疑いの目で見つめていると赤目の女の子が私達を見た
「気にするな。私たちは平和の使者だ」
「ウソっぽい…」
ついポロッと出たオッドアイの女の子の呟きをしっかり拾った赤目の子は眉にシワを寄せて「…なんだと？」とオッドアイの子を睨んだ
「…もういい」
そう言い残して赤目の子が先に光の中へ消えると、続けて2人の子は謝罪などを残してこの場を去って行った
……去る、というより逃走したという方が正しい気もするが
先程までレンガ造りの壁で反響して騒がしかった城壁広場が一瞬で静まり返る
「…なんだったんだろ」
「気にしたら負けだよ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
