#203 ページ11
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「……アンセム」
部屋に置かれた高さ2m近くも及ぶ大きさのアンセムの肖像画。私達が知っているアンセムより少し若い
ここから、あの男の計画の全てが始まったのだろうか
アンセムは何かを知っている…。いや、全て知っていたはずだ。光の扉も、私の持つ鍵の事も。あの男は探求者その者だった。倒すには惜しかった
物思いに耽っているとドナルドとグーフィーは部屋を見渡していた
「どうしたの？」
「王様は？」
「おーい」
呼びかけるようにソラが声をかけてみるけど、うんともすんとも言わない。シドの言っていたコンピューターも見当たらないし、もしかして、ハズレ？
あの入り組んだ通路をもう一度戻らないといけないのか…。肩を落とすと部屋の扉の側から「あなたたち？」と声をかける女性がいた
髪は黒く艶やかで、瞳の色は紅く、その女性はホロウバスティオンでは見ない人だった。
「…ええっと」
「私はティファ。ねえ、人を探してるんだけど、髪の毛ツンツンの男知らない？」
髪の毛ツンツン…しかも男…。私もなかなかクセのある方だと思うけど、男……。記憶の引き出しを幾つか引っ張り出してみるけど……
ここに一人、すでにそれに近い者はいる。その者、ソラは自分の毛先を引っ張ってみる
ていうか、自覚あったんだ……
「ふふ、もっとよ」ソラの子猫の仕草にティファは微笑んで、両手を耳横近くに持って来て髪を外へ引っ張る仕草を見せた
「部屋を調べさせてね」
ティファは辺りに落ちた書類を拾って読んだり、並べられた書籍の背表紙を流れるように探してみる
恐らくその、髪の毛ツンツン男はこういった研究といったものはあまり興味が無いように思える…。だけど必ずしも関係ないとは言えないから、なかなか声をかけれずにいるとティファは何もない壁に向かって立ち止まり、硬く拳を握ると天地が揺れる程の怪力で壁を殴った
拳に付いたホコリをはたくと私達に向かう
「邪魔しちゃったわね」
「問題、ありません！」
いつの間にか横一列に並んでいた私達は体を固く真っ直ぐに伸ばすとティファは少し笑って、この部屋から去って行った
扉もまた天井の瓦礫屑が少し零れる程強く閉めていくと、私達は固くしていた体から一気に脱力する
「よく来たな」
「レオン！！」
「ど、どうしたんだ。泣き出しそうな顔をして」
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