#034 ページ35
.
いつも住民から様々な依頼を受けているホロウバスティオン再建委員会は、こんなにも天気の良い今日にも関わらず依頼が舞い込んでくる…らしい
マーリン様の本が置かれた円形状のテーブルに辞書が一冊分埋まるのではないかというくらいの山のような書類が私達の目の前に置かれる
「…これ、毎日やってるの?」
「バカ言うんじゃねえ!こんなの少人数でやってられるかってんだ!」
「これでも、マシになった方…、かな?」
「前はもっと酷かったんだよ?これの4倍か5倍くらいあってさ…」
ユフィのそんな気が遠くなるような話なんて聞きたくない。私達はその言葉だけ見えない手で抑えるように聞こえないふりをする
だが大袈裟な話でもなんとなくそんな気にもなる
だって前まではマレフィセントやハートレス達によって廃墟と化されてしまったのだから
人があんな風に再び集まって商売や住宅街が出来る程に回復したのは、誇らしい事だと思う
「さてさて、みんな今日が初めてということで、さっそくパトロールをしてもらいます!」
「えー、依頼受けないのかよー!」
「頼む事が出来るのなら嬉しい限りだが、それよりもソラたちにやってもらいたいのはハートレスたちの退治の方だ」
ケチー、とまたソラはレオンに文句を言うが、彼本人は依頼もこなしつつハートレス達を退治したかったのだろう
相変わらず、単純というかわかりやすいというか…
「じゃあ、今から案内するから着いて来て!」
先導するユフィに言われるがままに着いて行くソラたちだが、ここで私のみマーリン様に呼び止められる
「おまえさん、今までの魔法はどうしたのだ?」
「…あ、えっと……、やり方を覚えてないです…」
マーリン様曰く、今までのとおりの身の内の魔法力は感じるらしいのだが、魔法が得意な私が使わずじまいで残っていた魔力が減っていない事にずっと疑問に思っていたらしい
「せっかく強力な雷の魔法や星の魔法を覚えていたのだから、思い出せなければ宝の持ち腐れというやつじゃぞ?」
「回復の魔法は、私が教えるから」
そう言ってくれたのはこの場に残って書類をまとめていたエアリス
今まで一度も彼女の魔法や戦っている姿を見た事が無いのだが、これでも白魔法と呼ばれる癒しの魔法が得意だと語る
シドもそれに、強力過ぎて逆に中途半端な傷に使うのはもしもの時にもったいないと言い始める程であった
「じ、じゃあ、お願いします」
「うむ、そのいきだ!」
「よろしくね、サツキ」
.
94人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ