#016 ページ17
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次にイェン・シッド様が話し始めた話題は私達が戦うであろう敵について
確かにハイネ達の街で見掛けたあの白い生き物について聞けるなら有難いものだ、すると私達の横にドナルドの幻が現れ、その幻はハートレスへと姿に変える
「もし、ドナルドが自らの心の闇にやぶれてしまうと心無き者、ハートレスになってしまう」
この事についてイェン・シッド様は私達に確認を求めると私達は頷くが、ハートレスになる例えに使われてしまったドナルドは不服そうだ
ハートレスは相も変わらず人々の心を求めて世界中をうろついているらしく、さらにハートレスの幻の横にあの白い生き物の幻も姿を現す
「良くも悪くも、強い心を持った者、強い心を持った者がハートレスになると、残された抜け殻が意志を持ち、動き出すことがある」
先程現れた幻を残し、ハートレスだけ幻を消すとイェン・シッド様は残された者を「ノーバディ」と呼ぶ
心を奪われし器、魂の存在、消え行く肉体、存在しない者──
それぞれ呼び名はいるらしいが、簡単に言えばサナギの抜け殻と同じようなものらしい
「感情的に動いているように見えるが、実際は心があるかのように振舞っているだけだ、奴らの言動に惑わされてはいかんぞ」
そうイェン・シッド様が注意すると次は背後にノーバディと呼ばれる生き物の幻を三体ほど出現させる
私達が見たあのノーバディと目の前に見えている幻は「ダスク」と呼ばれる、ハートレスでいうシャドウのような一般的姿らしい
他にもサイズが違うものや特殊な力を持ったノーバディもいるらしく、イェン・シッド様は注意が必要だと話す
「通常のノーバディどもは数が多いので厄介だが、しょせんはただの抜け殻、悪さはするだろうがほどなく闇に溶けてしまう
しかし──」
言葉を一つ前置きすると先程の幻は全て消滅し、新たに現れたのは黒いコートを着た三人の幻
その幻に三人は幻にも関わらずフードの影に潜む深い闇を感じて一歩足を引くが、私は思わずその幻に目を奪われ、フードの下の影を見つめる
なぜだかどこか懐かしく感じるのだ、会ったこともないはずなのに──、そして幻であるはずなのにこのコートの者達に親近感が湧く
コートの影に意識を持って行かれそうになっていた時、皆から名を呼ばれ、私はふと我に返る
「どうしたんだ?サツキ」
「う、ううん、なんでもない 話を続けてください」
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