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第305話 ページ41

*



「羽生、大丈夫なの?」


ウォーミングアップ中、腹部を何度も触っていた。


「集中出来てないだけ……、集中したら大丈夫。」


そう言う彼の額には小さな汗の粒。
まだ、そんなにウォーミングアップはしていないのに……。


「こっちに来て。」


誰も降りてこない駐車場まで歩く。


「こんな所まで来てどうかしたんですか?」


「私、貴方のスケートが好き。」


私は今背を向けて喋っているから彼の顔は見えない。


「綺麗で儚くて、消えてしまいそうなスケート。どんな瞬間も好きで……どんなに高い壁があってもぶつかっていく姿もずっと見ていたい。

でもね、本音を言うと………滑らないでほしい。今すぐ病院へ行って休んでほしい。

ねぇ、もう無理しないでー……」



振り返って言葉が出なくなった。

ゆづくんの目から涙が一筋、こぼれ落ちたから。


「そんなこと……今言わないでくださいよ。
俺を、信じてくださいっ!俺のスケートが好きって言ってくれるなら………この世にいる誰よりも、俺よりも、俺を信じて待ってて下さい!!それだけで、俺はどれだけでも高く跳べるっ。」


1つ、また1つ雨が降り出すように涙が落ちて……、こんなゆづくんは初めてだった。



*

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夕凪(プロフ) - KIKIさん» ありがとうございます!ちゃんと完結できてほっとしてます!これからもがんばりますのでこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年3月30日 19時) (レス) id: cadeec7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - かりん。さん» ありがとうございます!なんとか完結できてほっとしてます!笑かりん。さんの小説も楽しみにしております!(//∇//) (2017年3月30日 18時) (レス) id: cadeec7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
KIKI - 夕凪さん» 完結おめでとうございます。涙が止まりません(泣)もう一度1から読み直したんですけど、やっぱり羽生君の記憶を消すシーンずっと泣いてました(笑)これからもいろんな小説書いていかれると思いますが、頑張ってください! (2017年3月24日 23時) (レス) id: 9086491411 (このIDを非表示/違反報告)
かりん。(プロフ) - 完結お疲れ様でした!毎回楽しみに読ませて頂きました(^。^) 最後はハッピーエンドで本当によかった♪ (2017年3月24日 17時) (レス) id: 8481dc9fe3 (このIDを非表示/違反報告)
KIKI - 夕凪さん» もう少しで終わってしまうんですね(泣)寂しいです。でも、主人公ちゃんと羽生君が幸せになることを望んでます!!!!!! (2017年3月24日 16時) (レス) id: 9086491411 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆーなぎゅ | 作成日時:2016年11月5日 22時

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