第201話 ページ27
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ゴロゴロゴロゴロ……
トロントに着いたのは夜中。
高い塀の奥の建物には明かり1つついていなくて真っ暗。
でも、こんな夜中からトレイシーを起こすにも気が引けて仕方なく塀をよじ登った。
荷物は下のすき間から何とか引っ張り込む。
ゴロゴロゴロ…
キャリーケースのキャスターの音しかしない廊下。
明かり1つないと言った言葉は前言撤回。リンクには、小さなライトがつけられている。
その光がリンクと廊下の間の大きな窓から漏れていた。
そっと開けると、月の光よりも弱々しいたまに点滅しているようなライトの光を頼りに氷を滑る少年の姿がある。
「軸が外れた。でも次は修正できる…できる。」
独り言を何度も何度も言いながら滑っていた。
「もう一度頭から……。あと1回っ。」
フリープログラムの「オペラ座の怪人」のスタートポーズをとり、自分でカウントしながら舞っていく。
冒頭の4回転サルコウを跳ぶ……はずだった。
跳ぶ直前、彼は腰に手を当てて崩れた。
「ちくしょ!なんで跳べねぇんだよ……!」
バンッと音で氷を殴った。
悔しい、悔しい、悔しい
月光と小さなライトが小さく震える肩を照らしていた。
私になにができる?なにが言える?
私にできることは?
答えが出る前に体は動いていた。
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夕凪(プロフ) - KIKIさん» ありがとうございます!ちゃんと完結できてほっとしてます!これからもがんばりますのでこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年3月30日 19時) (レス) id: cadeec7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - かりん。さん» ありがとうございます!なんとか完結できてほっとしてます!笑かりん。さんの小説も楽しみにしております!(//∇//) (2017年3月30日 18時) (レス) id: cadeec7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
KIKI - 夕凪さん» 完結おめでとうございます。涙が止まりません(泣)もう一度1から読み直したんですけど、やっぱり羽生君の記憶を消すシーンずっと泣いてました(笑)これからもいろんな小説書いていかれると思いますが、頑張ってください! (2017年3月24日 23時) (レス) id: 9086491411 (このIDを非表示/違反報告)
かりん。(プロフ) - 完結お疲れ様でした!毎回楽しみに読ませて頂きました(^。^) 最後はハッピーエンドで本当によかった♪ (2017年3月24日 17時) (レス) id: 8481dc9fe3 (このIDを非表示/違反報告)
KIKI - 夕凪さん» もう少しで終わってしまうんですね(泣)寂しいです。でも、主人公ちゃんと羽生君が幸せになることを望んでます!!!!!! (2017年3月24日 16時) (レス) id: 9086491411 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆーなぎゅ | 作成日時:2016年11月5日 22時