第176話 ページ2
*
案外響いてくるシャワーの音、
その音を聞きながら持ち物の中からTシャツを探す。
ゴソゴソ
あれ?
今思えば、私すごいことしてない?
仮にも片想いの男性を部屋によんでシャワーを……
いや、まってまって!!!
そういうのじゃないから、大丈夫。
唯一着れそうなまだ袖の通してないソチオリンピックのスタッフTシャツを持ったまま、一人で顔を紅くしていた。
「あの、あがりました。」
「そう、ならこれ着て……」
心臓が止まるかと思った。
飲み物のかかっていなかったズボンはそのままだけど、上は何も着ていなくって、タオルでガシガシ拭いている髪から落ちる雫が鎖骨に流れていって………何とも言えないくらい
色っぽかったから。
「ありがとうございます、Tシャツまで。」
いくら華奢な彼でも、もう19歳のスポーツ少年にはSサイズのTシャツは小さかったみたいで、丈は短く胸のあたりはピッタリとしている。
「ごめんなさい、サイズ小さいでしょ?」
「そんなこと無いですよ、」
ベットに座っていた私の隣に必然的に座った彼が微笑みながら動くと少しギシッて音がして、なんだか自分の知ってるゆづくんと少し違って見えて恥ずかしくなった。
「ところで(人1)さん、」
「なに?」
「日本語しゃべれるんですね」
恥ずかしさを隠すために携帯に手を伸ばしていた私の手は動揺するように大きく揺れ、テーブルのに備え透けられていた灰皿を転がした。
「そんなこと、ないわ、」
「今もですけど、ずっと日本語ですよ?」
「う、そっ!?」
自分の唇を隠すように指先で触れる。
「今さら隠します?」
「う……」
「俺は嬉しかったんですけどね、ていうか、薄々気付いてました。」
「え、ど!?な!?」
今までどんなときも日本語は使わないようにしていた。
「練習手帳あるじゃないですか。あれ、全部日本語でしたよね?」
「あ、」
そうだった、
すっかり忘れていた私は練習手帳の存在を思い出した。
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夕凪(プロフ) - KIKIさん» ありがとうございます!ちゃんと完結できてほっとしてます!これからもがんばりますのでこれからもよろしくお願いします(*^^*) (2017年3月30日 19時) (レス) id: cadeec7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - かりん。さん» ありがとうございます!なんとか完結できてほっとしてます!笑かりん。さんの小説も楽しみにしております!(//∇//) (2017年3月30日 18時) (レス) id: cadeec7ec3 (このIDを非表示/違反報告)
KIKI - 夕凪さん» 完結おめでとうございます。涙が止まりません(泣)もう一度1から読み直したんですけど、やっぱり羽生君の記憶を消すシーンずっと泣いてました(笑)これからもいろんな小説書いていかれると思いますが、頑張ってください! (2017年3月24日 23時) (レス) id: 9086491411 (このIDを非表示/違反報告)
かりん。(プロフ) - 完結お疲れ様でした!毎回楽しみに読ませて頂きました(^。^) 最後はハッピーエンドで本当によかった♪ (2017年3月24日 17時) (レス) id: 8481dc9fe3 (このIDを非表示/違反報告)
KIKI - 夕凪さん» もう少しで終わってしまうんですね(泣)寂しいです。でも、主人公ちゃんと羽生君が幸せになることを望んでます!!!!!! (2017年3月24日 16時) (レス) id: 9086491411 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆーなぎゅ | 作成日時:2016年11月5日 22時