プロローグ 君は不思議なやつだった ページ1
重苦しい氷牢の扉を開けると
凄まじい冷気と冷凍焼けした
血生臭さに思わず目を逸らしてしまう。
ようやく、視界が回復すると
その向こうには珍妙な世界が広がっていた。
様々な女の死体がそこにはある。
首を吊るされたもの
四肢が人形のようになっていたり
顔を縫われ、つぎはきだらけのもの
手足を縛られたものなど
どれもが美しい女性の死体だった。
だが、やはりその中でも
一番目を引くのは中央の女性だった。
まるで美しく舞う妖精の舞を一瞬だけ
切り取って保存したような姿勢で
その表情にこの世の幸せを一身に
味わったように笑う女性
僕は彼女が嫌いだ。
だけど、僕は彼女を愛している。
悪を嫌い、正義を愛する
真っ直ぐな善人の塊のような彼女。
イかれた殺人鬼に殺されたのに
どうしてこんなにも幸せそうなのだろう。
『愛しているわ。』
殺人鬼に向かって言い放った
彼女の言葉を思い出して戦慄する。
あぁ、あの愛の言葉には愛以外の
何者も含まれていなかった。
僕が愛した
イかれた殺人鬼が愛した
善人で真っ直ぐで正しくて
そしてどこまでも狂った彼女
君は不思議なやつだったよ。
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ゆうな(プロフ) - ナズナさん» ありがとうございます!ドストレートな感想とても嬉しいです! (2016年9月3日 22時) (レス) id: 65f6c5a16f (このIDを非表示/違反報告)
ナズナ(プロフ) - 好きです!!大好きです! (2016年9月3日 22時) (レス) id: 31ccddbd6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうな | 作成日時:2016年8月27日 3時