死蝶は舞う2〔龍が如く〕 (ページ29)

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漆拾弐ページ29

貴方side

貴方｢好きにしろ｣

コンビニでかったミネラルウォーターのキャップを開けて勢いよく飲むと隣からビールのプルタブを開けたのかプシュｯと横から聞こえる

?｢やっぱりこの音はいいなぁ。悪いね俺だけ飲んじゃって｣

そう言いながらもゴクゴクと飲んでいるあたりそこまで気にしてはいないんだろう

貴方｢煙草吸っても?｣

?｢ああ、もちろん｣

口に咥えて火を付けてゆっくり体へ取り込むと辛みと共にほんのりラムの風味が口内に広がる

普段はそんなに吸わないハイライト

まじにぃが長年使ってる銘柄だ

10年以上の付き合いのある彼のハイライトと香水が混ざりあった香りはいつの間にか安心する匂いになっていて、最初はまじにぃが切らした時用だったハイライトは自分用になりつつある

香水は真似しないけどね

まじにぃだからこそあの匂いが似合うんだ

だが今日の事があったからか安心とは真逆の不安な気持ちになっていく

まじにぃ、大丈夫だよな…?

?｢良かったら1本譲ってくれないかな｣

貴方｢あ、ああ｣

箱から半分出た状態で相手へ渡して火を付けてやる

?｢ハイライトか｣

貴方｢キツかったか?｣

?｢いや、俺も煙草は吸ってたんでね。懐かしい気持ちになったよ。そうだ、名前を言ってなかった。俺は秋山駿(あきやましゅん)、よろしく頼むよ｣

貴方｢月城、月城亜蝶だ｣

ハイライトの吸い方がわかる当たり結構吸ってたんだろう

貴方｢前まで吸ってたんだろ?禁煙は辛くなかったのか?｣

秋山｢正直凄く辛いよ。今こうして煙草とビールにありつけて正直有り難い｣

貴方｢ふーん。…それなら偶に差し入れしてやろうか？その代わりに俺の為に情報集めを行う。よは取引だよ｣

自分でも何を言ってるか分からない

俺は善人ではないのに何故か自ら人助けをしようなんて

貴方｢それなら罪悪感なく受け取れるだろ?｣

秋山｢俺に頼む情報って…?｣

貴方｢揉め事が起きてる店の情報。この話乗るか?｣

秋山｢いや。それくらいでよければ｣

貴方｢じゃあ交渉成立だ。そうだな、これくらいあればいいだろう｣

財布から5万取り出し手に握らすと驚いた顔で見てくる

貴方｢最初の仕事は明後日以降に"シャイン"というキャバクラに行って"まり"を指名してくれ。そこで店の事を聞いてくれたらいい。月城に頼まれたって言えば通じると思う。4日後、ここで会おう｣

返事を聞かずに公園を出た